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 企業には、自社の生産経営の特徴および利益に従い、法に基づき自社の賃金分配方法や賃金基準を決定する権限があります(労働法47条)。

 労働法は、賃金決定における企業の自主決定権を認める一方で、従業員の権益を保護するため、企業に一定の制限を設けています。その最たるものが、「同一労働、同一報酬制度」と「最低賃金制度」です。「同一労働、同一報酬制度」は従業員間の理不尽な差別を禁止することを目的に、同様の労働を提供した従業員には同様の賃金を支給しなければならない、と規定する制度のことであり、「最低賃金制度」とは、仮に従業員の同意を受けたとしても、その賃金は所定の基準を下回ってはならないとする制度です。これらの制度は強行規定であり、企業がこれらに違反すると、処罰を受けることとなるため、留意する必要があります。

 中国の一部の地方政府では、当該の業界ごとの最高賃金、最低賃金を定期的に公布しており、企業および従業員の賃金交渉時の賃金基準の参考とするようお呼びかけています。ここにいう最低賃金は業界ごとに設定されており、すべての業界に適用する最低賃金とは異なります。たとえば、遼寧省大連市では、すべての業界に適用する最低賃金は月700人民元(一部の区では600人民元)となっていますが、日本語通訳の最低賃金は年19000人民元となっています。

 政府の賃金指導には法的な強制力はなく、企業がこれを遵守する義務はないものの、従業員側がこれを利用して賃金の引上げなどを求めてくる可能性があります。

賃金の引上げについて

 労働法46条では、「賃金基準は経済発展を基礎に徐々に引き上げること」と定められています。また、労働契約法62条1項5号では、派遣先企業が継続して派遣社員を使用する場合、派遣先企業の正常の賃金調整システムに応じて、その賃金を調整しなければならないとされています。そのほかにも、専門的技術訓練を受けた結果、拘束を受ける期間中の従業員に対して、企業の正常な賃金調整システムに従い、その賃金を調整する必要があります(労働契約法22条)。

 
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