外国人が中国で受け取る報酬については、中国企業での就労と、中国への業務出張は分けて考える必要があります。下記の通りです。
中国現地法人での就労の場合
中国企業での就労の場合は、労働契約書に基づいて中国企業の社員として受け取る給与ですから、赴任、あるいは就職したその月から、自動的に、会社が個人所得税を源泉徴収して納付する義務が発生しますし、個人所得税の課税対象は全世界所得になります。
中国への業務出張の場合
「出張」による業務の場合は、中国と日本の企業間契約に基づいて、現地会社にてその出張者に生活費や手当てを支給する事は妨げませんが、これはあくまで外国と中国の企業間契約で定められた「現地にて負担すべき契約金の一部」です。
但し、個人所得税上は、派遣元が支払うべき本人給与の一部を現地会社が肩代わりしているわけですから、会社は支払う手当てなどから個人所得税を源泉徴収納税して残額を支給しなければなりません。この場合の会社籍は外国ですから社会保険加入は必要ありません。
出張業務で現地にて支給される報酬などについては、日中租税協定によって「183日を越えて業務を行う一方の国において課税する」ということが定められていますので、
1.中国への出張期間が183日を越えない場合は、
中国で支払われた報酬と日本で支払われた給与を合算して、翌年3月に日本において確定申告をしなければなりません。もし中国で納付した個人所得税が日本での税率より高くて税金の納めすぎになっておれば、その差額は日本において還付されます。
2. 中国での業務が183日間を超える場合は、
中国政府がその個人に対する個人所得税の徴税権を有しますので、年度の初めから日本での給料も含めて中国において合算申告して個人所得税を納税しなければなりません。この場合はすでに日本で納めた個人所得税があれば、翌年に確定申告することで全額還付されることになります。 |