中国の各地で残業代計算基準が異なります。上海市では、残業代計算基数は下記のように定められています。
残業代計算基数
- 労働契約の約定に従うが、労働契約に定める従業員本人の賃金基準を下回ってはならず、かつ集団契約の定める基準を下回ってはならない。
- 労働契約と集団契約に定めない場合、従業員本人が正常に出勤した場合の月給の70%にて確定する。
- いずれの方法にかかわらず、上海市の最低賃金基準を下回ってはならない。
事例
月給1万人民元の王さんの賃金のうち、6000人民元を正常の勤務時間賃金、4000人民元を奨励金、手当、補助金などに設定する場合、上海市の規定により、王さんの残業代の計算基数は1万人民元の70%、つまり、7000人民元を計算基数として残業代を計算し、たとえ従業員が20時間の残業を行ったこととしたら、企業が従業員に1207人民元(=7000人民元/21.75日/8時間*残業20時間*150%)を支給する必要があります。
最低賃金基準
賃金を検討する場合、中国の最低賃金制度を念頭に置いておく必要があります。実務上、特に職場が工場の場合、従業員に宿舎や食事を提供することがよくありますが、提供した宿舎の宿泊料金及び食事代を賃金に含ませることはできません。
中国の賃金観念では、貨幣の形で従業員に支払うものしか計上することができないため、企業が提供する宿舎及び食事代など自体は賃金としては認められません、というのがその理由です。 |