取引先が自己の債務である売買代金を支払わないときに、債務者である取引先または第三者(抵当権設定者)が保有する特定の財産(抵当物件)を競売などにより換価し、優先的に会社(抵当権者)に対する債務の弁済に充てる方式の担保です。 Q&A:取引先から抵当権を取得できるのか?
抵当権の設定対象
抵当権は、抵当権設定者が所有権(ただし、土地の場合は土地使用権)を有している財産に設定することができます。ただし、土地の所有権、集団所有制土地の使用権(法令に抵当可能と求められている場合を除きます)、学校・病院・幼稚園などの教育施設及び公共福祉施設、ダム・農業水利施設などの社会公共利益にかかるもの、所有権または使用権不明もしくは係争中の財産、封印もしくは差し押さえられた財産または行政機関の監督管理下にある財産等には抵当権が設定できません。
抵当権の設定要件
抵当権の設定するには、法定の記載事項を満たした抵当権設定契約を書面で抵当権者と抵当権設定者との間で締結する必要があります。抵当権設定契約は締結した時から効力を発しますが、抵当物によっては登記を行ってから効力を有するものがあります。
不動産の抵当権は、登記が義務づけられ、登記しあなければ成立しません。現在または将来保有する生産設備、原材料、半製品及び製品、交通運送手段、建設中の船舶および航空機等の動産の抵当権は、抵当権設定契約時から成立しますが、登記しなければ第三者に対抗できません。なお、日本と同じく、同一の抵当物件に対して複数の抵当権の設定が可能ですが、先に登記したものが優先します。
不動産に対する抵当権の設定についての注意事項
不動産とは土地使用権、地上建物などを指します。抵当権の設定可能な土地使用権は、国有土地の払下土地使用権及び一部の集団所有土地使用権です。国有土地の無償割当土地使用権については、審査認可権限を持つ政府当局の認可を取得して、抵当権設定登記を経ることにより、例外的に抵当権の設定は可能です。当該認可を取得せず、また、登記をしていなかった場合は無効とされます。
また、郷鎮及び村の企業の建設用地使用権は、単独に抵当権を設定することはできませんが、郷鎮及び村の企業の工場などの建築物に抵当権が設定された場合、その占用範囲内の土地使用権も一緒に抵当権を設定することになります。
中国では、「建物は土地に従い、土地は建物に従う」というルールがあり、土地に建物が存在する場合、その土地の使用権と当該建物は一体として処理され、日本のように、別々に抵当権を設定することはできません。
抵当権の実行
実際に取引先の債務不履行が生じた場合、会社は、抵当権設定者との間で抵当物件の処分方式を協議します(協議がまとまらない場合、人民法院に対して競売・換価売却を求めることができます。
処分方式は、①抵当物件を評価してA社の債務に充当、②競売、③市場で換価売却という3つの方法があります。 |