病欠給与は、一般に「従業員の給与×一定の支給率」にて計算します。この「従業員の給与」が病欠給与の計算基数となりますが、会社は「従業員の給与」を正常に出勤した給与よりかなり低 く(例えば、基本給や最低賃金など)することがあり、往々にして労働争議の元となります。
病欠給与の計算式は、全国共通ではなく、地域によって異なります。上海市では、『上海市労働保障局の病欠給与計算に関する公告』(2004年11月1日施行)』により、以下のとおり計算します。
病欠期間 |
会社勤続年数 |
計算基数に対する支給率 |
連続6ヶ月以内 |
2 年未満 |
60% |
2 年以上 4 年未満 |
70% |
4 年以上 6 年未満 |
80% |
6 年以上 8 年未満 |
90% |
8 年以上 |
100% |
連続6ヶ月超過後 |
1 年未満 |
40% |
1 年以上 3 年未満 |
50% |
3 年以上 |
60% |
病欠給与の計算基数にかんする上海市高級人民法院の指導意見
① 労働契約または双方が締結したその他協議において病欠給与基数に関する約定がある場合は、双方が約定した金額を病欠給与の計算基数とする。
② ただし、病欠給与基数は正常出勤給与(労働者が正常に出勤すれば取得できる見込み収入で、一時的または臨時的な収入を含まない)の70%を下回ってはならない。
③ 双方が病欠給与の計算基数について約定していない場合、正常出勤給与の70%にて計算する。
指導意見に対する同法院の解釈
① 2003年4月1日施行の『上海市企業給与支給弁法』(滬労保総発〔2003〕2号)では、病気休暇・残業・私用休暇などの給与について、統一的な計算基数を適用すると規定している。
② ただし、残業代と病欠給与の性質が異なる(残業代は労働報酬で、病欠給与は福利待遇)ことを 勘案し、また、一部労働者が不正手段(嘘の病欠申請)で不正利益を獲得することを防ぐため、両者の計算基数について同一原則を適用しない。残業代の計算基数は、以下の原則で確定する。
a) 双方約定の正常出勤給与にて確定する。ただし、双方約定の正常出勤給与が明らかに不合理な場合は、実収入の70%にて計算する。
b) 約定がないか、もしくは不明な場合は、労働者の実収入で一時的な賞与、福利性項目などを控除した後の金額にて確定する。
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