未払賃金保障制度とは、雇用単位の賃金未払により従業員に与える損害に備えた強制的な保障制度であり、従業員に未払賃金とその他の労働債権を立替払いし、従業員の正常な生活を保障する制度です。未払賃金とは、企業が労働者に支払うべきで支払わなかった賃金、及び労働契約の解除又は終止時に払うべき経済補償金をいいます。
未払賃金保障費
年に1回納付。金額は上海市公布の月額最低賃金基準(注:2012年の上海市月額最低賃金基準は1,450 元)
納付者
上海市内の企業。営業許可証を取得した企業分支機構を含む。
建築施工企業で賃金保証金制度を実施の企業は除く。
未払賃金立替払いの申請条件
次の要件のいずれかの場合、労働者本人は未払賃金の立替払いを申請できる。
① 企業が破産、解散を宣告し、又は抹消され清算手順に入り、且つ未払賃金の事実が企業、企業清算組織の確認を経たか、もしくは人力資源社会保障行政部門又は労働争議処理機構の確認を経た場合
② 経営者の隠匿、逃亡等により企業が経営を停止し、且つ未払賃金の事実が人力資源社会保障行政部門又は労働争議処理機構の確認を経た場合
③ 企業の賃金未払により重大な衝突を引き起こす恐れがあり、紛争を処理する行政機関がその紛争の状況と未払賃金の事実を確認した場合
申請を認めない者
① 未払賃金企業の法定代表者又は経営者
② 未払賃金企業で前項人員と同居する親族
③ 未払賃金企業の10%以上の持分を所有する者
④ 月額賃金が上海市社会平均月給の3倍を超える者
⑤ 未払賃金の累計額が200元未満の者
未払賃金立替払いの期間と総額
① 未払賃金の月数が6ヶ月を超えない場合、立替払い金額は実際の未払賃金月数に基づき計算。6ヶ月を超える場合、6ヶ月として計算。
② 未払月額賃金又は月額経済補償金が上海市当年度月額最低賃金基準を上回る場合、未払賃金の立替払い金額は月額最低賃金基準にて計算。月額最低賃金基準を下回る場合は、実際の未払賃金額にて計算。
処罰規定
企業が規定通りに未払賃金保障費を支払わない場合、市人力資源社会保障局より期限内に支払うよう命じ、期限を超えても支払わない場合、支払うべき日から日毎に2‰滞納金を徴収するとともに、1,000 元以上3,000元の罰金を課す。
未払賃金の立替払い月数は6ヶ月を超えないほか、金額上限も低いものとなっています。従って、現行の未払賃金保障制度は臨時的な補助に止まるもので、多くの従業員にとって、未払賃金全額を請求するには労働仲裁等により解決を図るほかありません。
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