日本人駐在員を含む外国籍従業員への賃金の支払方法として、以下のように挙げられています。
- 全額人民元で中国国内において支払う
- 日本の親会社が日本国内で立替えて支給し、中国現地法人が定期的に日本の親会社に立替え分をまとめて送金する
1の場合は問題はありませんが、2の場合、外貨送金及び税務上の問題に注意が必要です。
外貨送金問題
中国では、厳しい外貨管理制度が実施されております。日本人駐在員が中国現地法人から受領した人民元賃金を外貨に換金し、これを自らの日本国内口座に送金することが認められていますが、中国現地法人が日本の親会社に日本人駐在員の立替え分の賃金を送金する場合には問題が発生します。
今のところ、立替え賃金の送金が認めらているのは、多国籍企業などの優良企業に限られており、これに含まれない日本企業は、中国現地法人のために日本人駐在員の賃金を立替えたからと言って、中国現地法人から立替え分の賃金の送金を受けることはできません。このため、日本の親会社が立替支給資格があるかどうか、中国現地法人が事前に確認しておく必要があります。
税務問題
日本の親会社に送金する場合、この送金が日本人駐在員の賃金立替分なのか、それとも日本の親会社の役務提供サービスの対価なのか、この二つの区別が必ずしも簡単ではありません。実務上、日本の親会社が中国現地法人への役務提供を目的として、中国現地法人に日本人を派遣するケースもよくあるからです。日本の親会社の役務提供サービスの対価の場合、中国現地法人が日本の親会社に送金するとき、その源泉所得を控除しなければならないという税務上の区別があります。
このような場合、日本親会社への送金が日本人駐在員の賃金であることを証明するには、日本人駐在員の中国での個人所得税の納付証明、日本人駐在員が中国現地法人との間に締結した労働契約書など、様々な資料を提供する必要が生じます。 |