Q :
あなたの会社は、代金前払いで(または代金支払と引き換えに)中国企業A社に商品を納める契約をA社と締結しました。A社は約定の期日に代金を支払わず(または提供せず)、商品の納入期日がきてしまいました。A社からは商品納入の催告を受けています。
A :(弁護士解説)
あなたの会社はA社からの催告を拒絶することができます(商品引渡義務違反に問われることはありません)。ただし、商品の引渡前に相手方が代金の支払を先行することまたは商品の引渡しと代金の支払を同時とする約定があることが前提となります。この場合において、相手からの履行催告を拒絶できるこれらの権利(抗弁)を、それぞれ先履行の抗弁権、同時履行の抗弁権といいます。
なお、取引の相手方に経営状況の重大な悪化(倒産間近)があることを証明する確実な証拠がある(単に噂があるだけでない)場合、契約の履行(製品の供給など)を中止することも認められています(不安の抗弁権)。履行を中止した後、相手方が合理的期限内に履行能力を回復できない場合や担保できない場合は、契約を解除することができます。
不安の抗弁権を行使するには、次のような確実な証拠を相手方に示さなければなりません。
- 相手方の経営状況が著しく悪化したこと
- 財産の移転、資産の隠匿をもって債務を逃れようとすること
- 商業上の信用が喪失したこと
- 債務を履行する能力の喪失または喪失の恐れがあること
ただし、契約履行の中止は、証拠を揃えることが容易でないため、実際の適用例はまだ少ないようです。 |