労働契約の解除とは
労働契約の期間満了前に、労働契約を解除することをいいます。解除は、合意解除、従業員により解除(通知解除、即時解除)、企業による解除(即時解除、無過失解雇、リストラ)などに分けられます。
労働契約の合意解除
企業と従業員が協議して労働契約を解除することができます(労働契約法36条)。企業の一方的な労働契約解除(解雇)と比べ、合意解除はいつでも行うことができ、また1か月前の通知義務、工会への解雇理由に関わる説明義務もなく、さらに、労働契約法42条等が定める解雇制限を受ける従業員(労災に遭った従業員、医療期間中の従業員、三期期間中にある女性従業員など)であっても合意解除することができます。
合意解除の場合、経済補償金の支給義務の有無は、誰が労働契約の解除を申し入れたかにより異なります。従業員が離職を希望し企業に労働契約の解除を申し入れ、企業がこれに同意した場合、経済補償金を支給する必要はありませんが、企業が従業員の離職を希望し、従業員に相談しその同意を受けた場合、経済補償金を支給する必要が生じます(労働契約法46条1項2号)。
実務では、労働契約の合意解除後、労働契約の解除を自ら先に申し入れた従業員が企業に経済補償金の支給を求め、企業が労働契約の解除を申し入れたのは従業員であることを証明できなかったために、経済補償金を支給せざるを得なかった実例があります。
このため、このようなトラブルを未然に防ぐためには、従業員から労働契約解除の申入れがあった場合、必ず従業員からの書面による退職願を保管しておき、また、安全を期するため、労働契約解除合意書を交わし、そこに従業員から労働契約の解除の申入れがあったとする旨を明記しておく必要があります。 |