原則として、労働契約の終了又は解除に、従業員の過失がなければ経済補償金の支給義務が発生することになります。その経済補償金の支払が必要な労働契約の解除は、整理すると以下のように分類することができます。
- 合意解除
使用者が従業員に対し労働契約解除の動議を提出し、且つ従業員との協議に基づく合意により、労働契約を解除する場合
- 従業員に対する無過失解雇(使用者が従業員に対して催告して解除を行う)
① 従業員が病気または業務外の事由により負傷し、療養期間が満了した後にもとの業務に従事できず、使用者が別に準備した業務にも従事できない場合
② 従業員がその任務に堪えることができず、訓練または職場の調整を行った後にあっても任務に堪えることができない場合
③ 労働契約の締結時に依拠した客観的な状況に重大な変化が生じ、それにより労働契約を履行することができなくなったときに、当事者が協議を行っても労働契約変更について合意に達しない場合
- リストラ(使用者が従業員に対して催告して解除を行う)
① 使用者が企業破産法により再生し、従業員をリストラした場合
② 使用者の生産経営に重大な困難が発生したため従業員をリストラした場合
③ 使用者が、従来の製品とは別の製品へと生産を転換し、重大な技術革新を行い、又は経営方式を調整し、労働契約を変更したにもかかわらず、人員を削減する必要があり、従業員をリストラした場合
④ 労働契約締結時、根拠とされていた客観的状況に重大な変化が生じたため労働契約の履行が不可能となり、従業員をリストラした場合
- 従業員による一方的解除(従業員が使用者に対して事前に催告せずに解除を行う)
① 使用者が労働契約の約定に従った労働保護又は労働条件を提供しない場合
② 労働報酬を速やかに全額で支払わない場合
③ 法に従い従業員のために社会保険料を納めない場合
④ 使用者の規則制度が法律、法規の規定に違反し、従業員の権益に損害を与えた場合
⑤ 労働契約法に定める事由により労働契約が無効となった場合
⑥ 暴力、威嚇又は不法に人身の自由を制限する手段により、労働を強制する場合
⑦ 使用者が危険な作業を規則に反して指示し、強制的に命じて従業員の人身安全を脅かす場合
- 期限満了
使用者が労働契約に約定する条件を維持し、又は引き上げて労働契約を更新したが、従業員が更新に同意しない場合を除き、期限つき労働契約を終了した場合
- 従業員の責によらない契約終了
使用者が営業許可証を取消され又は廃業若しくは取消を命じられ、若しくは使用者が繰上解散を決定した場合
- 所定業務達成
一定の業務達成を期間とする労働契約が業務達成により終了した場合
上記の場合のいずれかに該当すれば、使用者が従業員に対して経済補償金を支払わなければなりません。
経済補償金の計算方法
労働契約前12ヵ月の平均給与1ヵ月分を基準として、勤続年数を乗じて計算します。
経済補償金の上限
従業員の月給が、使用者の所在地区における前年度の従業員月平均賃金の3倍を超える場合は、当該従業員に支払う経済補償金の基準は、従業員月平均賃金の3倍に相当する金額とします。経済補償の年数は12年を最高限度とします。 |