事実上無固定期限労働契約とは
実務上、会社が従業員に対し、雇用を開始しているが、書面契約を締結しないケースがよくあり、 その期間が1年にいたると、自動的に事実上の無固定期限労働契約関係が成立します。
事実上の無固定期限労働契約関係が成立した後に、会社が従業員と書面の労働契約を締結しようとするが、従業員がそれを拒否する場合、会社は今の事実上無固定期限労働契約関係を解除できるかどうかについて、明確な規定がありません。
ちなみに、『労働契約法』第八十二条によると、雇用単位が雇用開始日より1ヶ月以上1年未満を経過しても労働者と書面形式の労働契約を締結しない場合、労働者に毎月2倍の給与を支給しなければなりません。また、1年が経過しても、労働者と無固定期限労働契約を締結しない場合、無固定期限労働契約を締結すべき日より労働者に対して毎月2倍の給与を支給しなければなりません。
事実上無固定期限労働契約の解除に関する上海市高級人民法院の指導意見
① 雇用単位が雇用期限1年満了まで、労働者と書面労働契約を締結しない場合、雇用期限が1年満了した当日に、既に労働者と無固定期限労働契約を締結したと見なされ、直ちに労働者と書面の無固定期限労働契約を追加締結しなければならない。
② 書面の無固定期限労働契約の追加締結する際、労働契約期限以外の項目について、双方は合法、公平、協議一致、誠実信用の原則で協議して決定する。
③ 雇用単位が誠実な協議義務を履行し、労働契約期限以外の項目について、合理的な条件(同一職 場、同一職種または雇用1年以内の事実労働権利義務またはその他合理性要素を総合的に参考)を提示したにも関わらず、労働者が書面の無固定期限労働契約の締結を拒否する場合、雇用単位 は労働契約を解除することができ、労働者に経済補償金を支給する。
指導意見に対する同法院の解釈
① 『労働契約法』第14条では、「雇用単位は雇用開始日より1年経過するまで、労働者と書面労働契約を締結しない場合、雇用単位は労働者と無固定期限労働契約を締結したと見なす」と規定している。当該規定では単に労働契約の期限について明確に規定しているが、その他の労働契約権利と義務については明確に規定していない。
② 『労働契約法実施条例』第7条では、「雇用単位が雇用期限1年満了まで、労働者と書面労働契約 を締結しない場合、雇用期限が1年満了した当日に、既に労働者と無固定期限労働契約を締結したと見なされ、直ちに労働者と書面の無固定期限労働契約を追加締結しなければならない」と規定している。ゆえに、書面労働契約の締結は、雇用単位の法定義務で、労働者の法定義務でもある。
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