債権事故を防ぐには、すべて現金決済するという取引条件にすればよいわけですが、現実にはなかなかそうはいきません。一方で、中国では日本のような企業間信用取引に類する掛売りが少ないこともまた事実です。日本ではごく当然の手形不渡り(銀行取引停止)をおそれるということもありません。したがって、新規客先との掛売り取引はできるだけ避けるべきですが、どうしても代金後払いでの取引をせざるをえない場合には、相手方の過去の支払状況を調査したうえで、取引契約書で、
① 支払期限や手段など決済の基本条件を明記しておくこと、
② 支払遅延に対して違約金を設定すること、
③ 信用調査を確保しておくこと、
④ 代金を全額回収するまで対象商品の所有権を留保し、その実行方法を明記すること、
⑤ 万一相手方会社の販売先が支払いをしない場合でも代金を支払う旨を明記することなどに加え、取引の実務においては、第三者による保証状を取得することや物的担保を設定することなどが、債権事故のリスク低減のためには効果的といえます。
取引開始後
相手方会社の信用状況を絶え間なく把握しておくことが基本になります。また、一定期間中に取引総額が設定限度額を超えた場合に取引継続の是非を検討する仕組みを作り、実際に代金回収が滞った場合には商品出荷を直ちに止めることができるような体制を整備しておくことが必要です。 |