調査の方法はさまざまありますが、最近では、膨大な企業データベースや独自の調査ルートを有する調査会社、信用調査を引き受ける弁護士事務所など、調査のツールが増えていますので、まずはその活用を検討すべきです。例えば、相手方会社の貸借対照表、損益計算書、会計監査報告書などの合法的に入手し、その会社の経営状況、対外投資状況、関連企業状況などを調査することができます。
同時に、工商行政管理局のデータベースから「企業基本登録データ」を調べるという方法もあります。このデータ(通常、1ページ程度の基本情報)は、中国の企業・個人であれば、原則、誰でも利用することができますが、一般企業や個人による照会が認められない地方もあります。また、企業の登録詳細情報に関する調査(いわゆる「工商調査」)に対しては、各地方の工商局の対応実態は様々です。たとえば、司法機関、公安局、弁護士や調査対象会社に限るとしたり、閲覧できる情報の範囲も地方により異なります。
「工商調査」で入手できる項目 事例: 新規顧客と取引を開始するには
「工商調査」で入手できる項目は、通常次の通りです。
- 企業登記の基本事項(法定住所、法定代表人、会社の種類、登録資本金、会社設立日、経営期間、経営範囲、出資者、会社登録番号など)
- 企業登記の申請書類(各許認可文書、会社定款、出資検査証明書、法定代表人身分証明など)
- 企業の変更・抹消登記事項(子会社及び支店の設置、会社名称・住所・法定代表人・出資者・資本金などの登記基本事項の変更及び会社登記の抹消)
また、場合によっては、「年検報告書」(会社の年度経営状況報告書)を入手できる可能性もあります。外商投資企業であれば、企業設立の際の「可行性研究報告」(F/S)、「批准証書」(許認可証書)などがあります。
弁護士であれば
弁護士であれば、工商局に対して弁護士勤務証明書「律師執業証」(一部の地方では、裁判所の案件受理証明も必要)を提示したうえで、工商局の保存ファイルから調査書類の原本を閲覧・複製することができます(これにより「企業基本登録データ」より詳細な会社情報を入手できることがあります)。
なお、土地使用権、建物所有権の登記状況及び抵当権設定状況などについては、各地方の不動産管理局「国土資源局、房地産管理局」において、また、車両などの所有権・抵当権設定状況については、各地方の公安交通管理局において、さらに、企業の重要機関設備の抵当権設定状況については、所在地の工商局において、それぞれ調査することができます。 |