委託加工の類型を示す言葉で、「来料加工」「来様(図)加工」「来件加工」「補償貿易」の頭文字をとって「三来一補」と言われています。それぞれの方式は下記のとおりです。
① 来料加工 加工委託者から無償で原材料の提供を受け、その原材料を用いて加工された製品全量を加工委託者に引き渡す方式です。加工賃は加工委託者が別途支払です。
② 来様(図)加工 加工委託者からサンプル(または図面)の提供を受け、サンプルと同じ製品(または図面どおりの製品)を生産し、加工委託者に引き渡す方式です。
③ 来件加工(装配) 加工委託者から部品や必要となる設備・技術の提供を受け、提供された部品の組み立てて加工委託者に引き渡す方式で、いわゆるノックダウン生産のことです。
④ 補償貿易 加工に必要となる技術や設備の代金を、その技術や設備を導入後に生産される製品で支払う方式です。
進料加工
「進料加工」とは、来料加工と同様に原材料の支給を受け、加工した製品を輸出する方式です。この方式は、来料加工と異なり、原材料輸入、製品輸出ともに代金が決済され、その差額が加工賃となる方式です。原材料の一部を中国国内で調達する場合や、製品の一部を国内販売するスキームの場合は、来料加工ではなく、進料加工になります(製品の国内販売は税関の許認可と国内販売に使用した原材料に課せられる関税及び増値税の納付が必要です)。また、進料加工では原材料の支給者と製品の販売先が同一の会社である必要はありません。
委託加工の実施に際しては、事前に政府商務部門と税関の許認可を受け、委託加工契約を税関に登録し、委託加工企業番号を取得しなければなりません。また、銀行で保証金台帳の開設手続も必要になります。これらの諸手続がすべて行われた場合、原材料輸入時の関税の関税および増値税は原則として免税扱いとされます。
免税扱いで輸入された原材料を使用した製品が適正に輸出されたかどうかを確認するため、税関では委託加工手帳による管理を実施しています。輸出入時には、つど委託加工手帳の提示、記録が義務づけられており、これに違反した場合、企業の格付けに悪影響を及ぼします。 |