従業員と2回連続して固定期間労働契約を締結すると、企業は当該従業員と無固定期間労働契約(終身雇用)を締結しなければなりません。ここにいう「2回」及び「連続」について、具体的にどのように解釈すべきでしょうか。実務上の見解が分かれています。
企業有利説
固定期間労働契約を2回締結した後、さらに従業員から労働契約の更新を求められた場合、企業には従業員と協議を行う権利があり、労働契約(無固定期間労働契約)を締結するか、あるいは雇用を継続しないかを判断できる選択肢が企業にはあると考えられます。
従業員有利説
労働契約法は従業員の権利を保護するもので、企業が2回連続して固定期間労働契約を締結する以上、従業員との間に信頼関係がすでに確立したものと見なすことができ、従業員から希望があれば、企業は従業員と無固定期間労働契約を締結しなければならず、この時点で労働契約をするか否かの選択肢は企業側にはない、という意見が徐々に拡大し、現在、この見解が通説となっています。
上海市は企業有利説
上海市高級人民法院が2009年3月3日に公布した「労働契約法の適用の若干問題に関する意見」4条4項の中で、「従業員と3回連続して固定期間労働契約を締結した後、従業員と3回目の労働契約を締結する場合」、無固定期間労働契約を締結しなければならない、との判断を下したケースがあります。
上海市では、企業有利説の立場寄りであるとの印象を受けます。
「連続」の解説
連続勤務とは、従業員が特定の企業で連続して勤務し、双方の労働関係が保持されたままの状態のことを指すと考えられます。
- 従業員がいったん企業(旧企業)から離職し、他の企業に就職した後、再び旧企業に戻るとき、旧企業での勤務回数は2回目であるものの、この場合、連続勤務とは言えません。
- 従業員が企業から離職し、しばらく仕事を行わずに、再度前職場に復帰し就職した場合も、連続勤務とは言えません。
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