法的依拠
労働契約法17条1項4号
勤務場所は、従業員が勤務する場所のことをいい、労働契約では必ずこれを約定しなければなりません。
労働契約法81条
勤務場所を約定しないと、労働契約が直ちに無効になるわけではありませんが、労働行政管理部門から是正を命じられ、従業員に損害をもたらした場合には、従業員に賠償を行わなければなりません。
労働契約法26条1項2号
勤務場所をあまりにも広く定めると、従業員の利益を侵害し、勤務場所の約定が行われていないとみなされ、当該約定が無効とされる可能性があります。
勤務場所を「上海市」にするか「○○ビル」までにするか
「勤務場所は中国全土」のような約定は無効とされます。一方、勤務場所を細かく定めた場合のリスクとして、会社が移転するとき、たとえ隣のビルであっても、従業員の労働契約の変更に該当するとして、労働契約を解除し経済補償金の支給を求められることが考えられます。
勤務場所は「企業の経営場所所在地」と約定するのがベスト
第○条 (勤務場所)
乙(従業員)の勤務場所は、甲(企業)の経営場所所在地とする。なお、甲が業務上の必要に応じて、乙の勤務場所を合理的に調整することができ、乙は、正当な理由がない限り、これに同意しなければならない。
上記のような従業員の勤務場所の自由調整は、従業員の自由意思に違反するものとして、無効とされる可能性が高いです。しかし、これにより従業員に損害がもたらされない限り、企業の従業員への賠償責任は発生しません。このように、無効になる責任が軽微であるため、勤務場所の自由調整の約定をあえて盛り込む労働契約が実際には多いのが現状です。 |