中国では、企業の商業秘密保持概念の意識に欠ける従業員が数多いため、転職後に前職場の商業秘密を漏洩する行為が多発しています。秘密保持措置について、その方法はさまざまですが、下記のようによく利用されています。
- 入社時に締結する労働契約で秘密保持条項を定める。
- 従業員の離職前に秘密保持協議書を締結する。
- 従業員に秘密保持義務と合わせて競業避止義務を負わせることも、商業秘密漏洩の防止にとって有効な手段である。
秘密保持条項の作成の留意点
1、秘密情報の明記
従業員に秘密保持を義務付けていても、従業員は、具体的にどのようなものは保持すべき秘密に該当するの、曖昧で理解していない場合が殆どです。中国の不正競争防止法によれば、商業秘密とは、
① 公衆に知らされず(秘密性)、
② 権利者に経済利益をもたらすことができ、実用性を有し(実用性)、
③ 権利者が秘密保持措置を講じた技術情報及び経営情報のことを言います。
一般的に原材料の成分、工芸、ノウハウ、設計資料、管理方法、営業販売策略、顧客リスト、原材料出所情報などが含まれるその秘密情報を従業員に明記にすることが、秘密保持において、重要となります。
2、損害賠償責任の明記
従業員が秘密保持義務に違反した場合、企業が従業員に損害賠償を求める際に、まずは自社の被った損害を客観的に証明する必要があります。しかし、一口に証明といっても、なかなか簡単な作業ではないことから、損害賠償の金額を明記しておくことが従業員の秘密保持義務の違反を防ぐ抑止力になると考えられています。例えば、
「甲(企業側)の損失額の計算が困難である場合、乙(従業員側)は甲から受けた直近12ヶ月の平均月賃金の倍額をもって甲に賠償するものとする。」
従業員に秘密保持義務を課す対価としての経済補償の支給は不要
中国の法律によっては、企業の秘密を保護し、従業員が企業の秘密を保持することは、法的な義務であると定めているからです。
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