労働契約では、違約金に対する制限を明言しており、違約金の約定について以下の二つの状況に該当する場合のみに限定しています。
- 従業員が拘束期間の約定に違反した場合
- 従業員が競業避止の約定に違反した場合
企業が従業員に拘束期間を設定する前提には、専門的技術訓練費用を提供していること、また、従業員に競業避止業務を負わせるには、企業が経済補償を実施する必要があります。つまり、この二つの状況は、いずれも企業が従業員のために金銭を提供しているために、違約金の約定が認められているわけです。
これ以外の違約金の約定は、いずれも違法となり、無効となります。
違約金金額の制限
労働契約では、企業の違約金金額の設定に対し規制が設けられています。
拘束期間の約定に違反した場合の違約金は、その合計額が企業が従業員のために提供した専門的技術訓練費用を超えてはならないとしています。
競業避止義務に違反した場合の違約金金額について、企業が高額な違約金金額を約定することは理論上は可能です。しかし、原則的には、この違約金金額は競業避止義務に関わる経済補償金金額と比べ、合理的なものでなければなりません。約定した違約金金額が不合理な金額である場合、「公平性を欠く」として、無効とされる可能性があります。 |