従業員は30日前までに企業に通知すれば自由に離職することができ、企業はこれを阻止できません。しかし、企業が従業員に「専門的技術訓練」を提供した場合、「何年何月までは離職してはならない」という制限(拘束期間)を労働契約で約定することができ、従業員の離職を制限することが可能です。
一般技術訓練は「専門的技術訓練」に該当しない
労働法68条は、「企業は職業技術訓練制度を確立し、従業員に対して計画的に職業技術訓練を行わなければならず、技術作業に従事する従業員に対しては、職務につく前に技術訓練を行わなければならない」と定めています。現在、従業員賃金総額の1.5~2.5%を従業員教育訓練経費として従業員の技術訓練に当てることが企業に義務付けられています(職業教育改革及び発展の極力促進に関する決定19条)。
この従業員教育訓練経費は企業の義務であり、また企業のコストとして計上することが認められるため、当該経費を使用した技術訓練は専門的技術訓練に該当しないと、一般的に考えられています。
「専門的技術訓練」とは
従業員の勤務期間を拘束できる専門的技術訓練とは何かについて、労働契約法ではこれを定められていません。実務上、従業員を拘束するには、企業が「専門的技術訓練費用}を提供し、従業員に「専門的技術訓練」を提供する必要があるとの共通認識がよく見受けられ、例えば、
① 製造ラインを購入し、技術者に製造ラインの使用・修理技術を身に付けさせるために外国に派遣し勉強させる場合、
② 日本本社に一定期間(6ヶ月か1年間など)派遣し勤務させる場合も専門的技術訓練に該当すると考えられています。
弁護士意見:
①は典型的な専門的技術訓練に該当しますが、②は勤務内容・勤務状況などにより専門的技術訓練ではないとする意見もあることから、実施前に従業員と十分に協議を行い、拘束期間に関する協議書を締結すべきです。 |