製造物責任(Product Liability=PL)とは、製品に何らかの欠陥があり、そのために消費者などの生命、身体または財産に損害が生じた場合に、その製造者が被害者に対して損害賠償責任を負うというものです。一般の不法行為責任と比べると、被害者が製造者の過失を立証する必要がないため、製造者側の責任追及が容易になっているところに特徴があります。
中国における製造物責任については、製品品質法に定められています。また、多くの消費者保護を規定する「消費者権益保護法」にも、消費者が購入した製品または受けたサービスについて損害等を被った場合の規定がされています。なお、いずれの法律も、関連法令が多くあり、地方ごとに関連条例も制定されていますので、関連規定をすべて確認することが重要です。なお、2010年7月1日施行の不法行為法における製造物責任に関する規定にも、注意が必要です。
製造者による無過失責任 事例:生産(販売)品が原因で事故が起きたら
製造者には、製品の欠陥により人身及びその他の財産に損害が発生した場合、賠償責任があります。この責任は無過失責任であり、被害者は欠陥により損害を被ったことを証明すればよく、製造者の過失に関する証明等は必要としません。
販売者による過失責任
製造者の無過失責任に対し、販売者の責任は販売者の過失を要します。販売者の故意または過失により製品に欠陥が発生し、消費者に損害は発生した場合には、販売者が責任を負います。ただし、被害者は、製造者または販売者のいずれかに対して、損害賠償責任を求めることができます。なお、輸入者の責任については製造者または販売者の責任と同様であるかどうか法律上明確ではありません。
その他の責任
販売者または製造者は、製品品質法上、上記責任以外にも、製品の性能不備や製品説明書に表示した品質との不一致が生じた場合に、当該製品を「修理、交換、返品」する責任を負いま(「修理、交換、返品」を保証することを中国語で「包修、包換、包退」ともいうことから「三包責任」といい、日本の瑕疵担保責任に相当します)。三包責任は一義的に販売者が負担しますが、販売者が負った責任の原因が製造者または製造供給者にある場合、販売者は製造者、製品供給者に対して求償することができます。
一方、「民事訴訟証拠に関する若干規定」では、製品の欠陥により損害を与えた場合の訴訟では、製造者が製品品質法に規定されている免責事由について立証する責任を負うと規定されています。即ち、製造者(販売者)側が、製品を流通ルートに投入した時点では損害を引き起こした欠陥は存在しなかったということを立証しなければ、勝訴は難しくなります。
なお、不法行為法によると、製品に欠陥が存在することを明確に知っているにもかかわらず、それを生産しまたは販売し、この欠陥により死亡または重大な健康被害者をもたらした場合、被害者は関連責任者に対して懲罰的損害賠償を求めることができます。 |