婚姻法には「人民法院は離婚事件を審理するに当たって、調停を行わなければならない。もし感情が既に破綻していることが確かであり、調停の効果がない場合には、離婚を認めなければならない」と規定されている上、さらに、《司法解釈(二)》は「たとえ有責配偶者からの離婚請求であったとしても、離婚を認めなければならない」(同解釈22条)と追加しました。このように、人民法院は有責配偶者からの離婚請求ですが、夫妻感情が確実に破綻して調停の効果のない場合には、離婚を認めなければならないことになっています。
ただし、無責配偶者に対しては従来から財産分割に際して弱者保護的配慮を認めてきましたが、さらに《修正婚姻法》においては、一定の原因に基づく離婚に損害賠償請求権を認める制度を新設しました。
損害賠償請求原因と賠償内容
(1)損害賠償請求原因
以下に列記する事由によって離婚に至った場合に、無責配偶者は損害賠償請求権を有します。
① 重婚の場合
② 配偶者のある者が他人(異性)と同棲した場合
③ 家庭内暴力を行った場合
④ 家族を虐待·遣棄した場合
(2)損害賠償請求内容
ここにいう「損害賠償」とは、物質的損害賠償と精神的損害賠償を含みます。精神的損害賠償については、《精神損害賠償的解釈》の関係規定を適用します。
損害賠償請求条件
損害賠償責任を負う主体とは離婚訴訟当事者中の有責〔過失〕配偶者ですが、無責〔無過失〕配偶者に対してのみ損害賠償請求権を認めています。さらに、人民法院が離婚を認めない判決を下した案件においては、当事者が当該46条に基づいて提起した損害賠償請求は認められません。また、婚姻関係の存続期間中に、当事者が離婚を提訴することなく、当該条文に基づく損害賠償請求のみを単独に提起しても、人民法院では受理されないことになっています。無責配偶者からの損害賠償請求は離婚を前提として認められるものです。
たとえ、無責配偶者が相手方配偶者から暴力による傷害や財産的損害を受けていても、婚姻中は当該規定による損害賠償請求は認められません。
損害賠償請求手続上の注意点
人民法院は離婚案件を受理するとき、当該規定にある当事者の関連する権利義務を、書面をもって当事者に告知しなければなりませんが、さらに、それを適用するに際しては、以下の異なる状況を区別しなければならないとされています。
(1) 婚姻法46条規定に合致する無責配偶者が原告として当該規定条文に基づいて人民法院に対し損害賠償請求を提起する場合は、離婚訴訟と同時に提出することが必要です。
(2) 婚姻法46条規定に合致する無責配偶者が被告とされる離婚訴訟案件において、もし、被告が離婚に同意せず、かつ、当該条文規定の損害賠償請求をも提起していない場合には、離婚後一年内に単独で損害賠償請求訴訟を提起することができます。
(3)無責配偶者が被告となっている離婚訴訟において、一審時に被告は婚姻法46条の規定に基づいて損害賠償請求を提出せず、二審の期間において提出した場合、人民法院はまずその調停を行わなければなりません。調停が不成立の場合は、当事者が離婚後一年内に別に損害賠償請求を提訴するよう告知します。 |