民事事件の審理は原則的には公開で行うものとされていますが、離婚事件の場合は双方の感情やプラバシーの保護の観点から、当事者に非公開の審理を申請する権利を認めています。ただし、当事者の離婚審理非公開申請の可否に対する最終決定権は人民法院が有します。
被告住所地主義
離婚事件の裁判管轄は被告住所地主義の原則に従います。一般に被告の住所の基層人民法院(最下級審裁判所)の管轄に属し、被告の住所と常居所が一致しない場合は、被告の常居所の基層人民法院の管轄となります。この原則は次の諸事例にも適用されます。
①夫妻双方のいずれもが軍人の場合の離婚訴訟は、被告の住所または所属部隊の上位機関の所在地の人民法院が管轄します。
②夫妻双方のいずれもが拘禁されまたは労働教養や懲役に服している場合の離婚訴訟は、被告の現住所の人民法院の管轄となります。ただし、被告が一年以上拘禁され、または労働教養や懲役に服している場合は、被告の拘禁地、労働教養地または服役地の人民法院の管轄となります。
③夫妻双方のいずれもが都市戸籍を取り消された場合の離婚訴訟は、被告の居住地の人民法院の管轄となります。
④夫妻双方のいずれもが住所地を離れて一年を超えた場合の離婚訴訟は、被告の常居所にある人民法院の管轄となります。ただし、被告に常居所がない場合は、提訴時の原告の居住地の人民法院の管轄となります。
原告住所地の管轄が認められる場合
次の場合は、原告の住所地管轄が認められ、原告住所地(住所と常居所が一致しないときは常居所)の人民法院に提訴することができます。
①被告が中国領域内に居住していない場合
②被告が行方不明者や失踪宣告者である場合
③被告が拘禁されていますが、労働教養や懲役に服している者である場合
④原告は非軍人ですが、被告が非文職軍人である場合
⑤被告が都市戸籍を取り消された者である場合
⑥被告が一年以上住所地を離れている場合
なお、被告が有罪判決を受けていても、執行猶予などのため収監されていない場合には、原則として被告の住所地(または常居住地)の基層人民法院の管轄となります。
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