《80年婚姻法》における裁判離婚の離婚原因は「夫妻間の感情の破綻」のみでした。夫妻間の感情の破綻とする規定では余りにも抽象的すぎて、個々の法院が下す判決に差異が発生するのを防ぐことは至難の業でした。
そこで、1989年11月21日、最高人民法院は「夫妻間の感情の破綻」についての司法解釈、《関于人民法院審理離婚案件如何認定夫妻感情確己破裂的若干具体意見》(「人民法院が離婚案件の審理に際し、夫妻感情の確実な破綻をいかに認定するかについての若干の具体的意見」以下《夫妻感情破綻的意見》と略称。)を公布し、「夫妻間の感情が確かに破綻したかどうかを認定するには、慎重を期し「婚姻の基礎」·「婚姻後の夫妻感情」·「離婚原因」·「夫妻関係の現状と和睦の可能性」などの諸側面から、いわば、婚姻成立から離婚請求後の現状までの夫妻が共に歩んできた歷史(過去)と将来の可能性をも見据えた分析·判断を基礎とすべきであると提示した上で、十三の具体的破綻事由と一抽象的事由を挙げました。
破綻事由
《修正婚姻法》はこの最高人民法院の司法解釈·《夫妻感情破綻的意見》に沿って、「夫妻感情が既に確かに破綻している」ことを判断する基準として以下のように四つの具体的離婚事由と抽象的一事由を列挙し、そのような事由が存在し、かつ調停が無効の場合には、離婚を認めなければならないと追加規定しました。
(1)重婚または配偶者を有する者が他人(異性)と同棲した場合
同居の共同生活は三か月以上継続していること、との說明が見られました。
(2)家庭内暴力または家庭成員を虐待·遺棄した場合
(3)賭博·麻薬使用等の悪習を有し、度々諭しても改めない場合
(4)感情の不和により満二年別居している場合
ここでの「满二年別居」とは、別居期間を加算したものではなく、継続して二年間以上の別居を意味します。
(5)その他夫妻感情の破綻が生じている情況にある場合
実務においては、「その他夫妻感情の破綻が生じている情況にある」には、次の場合が認められています。
① 相手をよく知らずに軽率に結婚しましたが、婚姻後に夫妻間の感情を培うことができず、共同生活が困難な場合
② 夫妻の一方が精神病を患っていることを隐蔽して結婚しましたが、婚姻後に長期間にわたり治療を受けたにもかかわらず治癒できなかった場合、または、相手が精神病を患っていることを知りつつ婚姻したときや、婚姻後共同生活期間内で精神病を患ったときに、長期間にわたり治療を受けたにもかかわらずなおも治癒できなかった場合
③ 婚姻登記後に同居せず、共同生活を送ったことのない夫妻間に、今後も和睦の可能性がないと認められた場合
④ 夫妻の一方が長期刑に処せられた場合、または、違法行為や犯罪行為によって夫妻間の感情が酷く損なわれた場合は、夫妻感情が確かに破綻したものとみなされ得ます。このような場合、夫妻の一方が離婚を強く請求し、調停が不成立に終わった場合は、法に基づいて離婚を認めるベきであるとされています。
次いで、「違法行為や犯罪行為によって夫妻問の感情が酷く損なわれた場合」の違法行為や犯罪行為の類型も問題になります。それは主として、被告が強姦罪·幼女強姦罪·集団強姦などの罪で長期または短期懲役に処せられた場合、または、これらの罪を犯したが犯罪情状が軽微で刑事処分を免除され、行政処罰である労働教養や治安管理処罰に処せられた場合です。これらの違法行為や犯罪行為は量刑等にかかわらず、夫妻感情を酷く損なうため、配偶者が離婚を強く求め調停が不成立に終わった場合は、離婚を認めることができるとされています。 |