経済補償金とは
経済補償金とは、労働契約の終了または解除の場合に、企業が法定の条件および基準に従い、従業員の損失を補償するために従業員に支給する金員のことをいいます。経済補償金は、あくまで企業が従業員に支給するものであり、従業員が企業に支払うものではないという点において、損害賠償金とは異なります。また、経済補償金の支給は、当事者間の約定によるものではなく、法的定めに基づき企業が行うものであることから、日本の退職金とも法的性質が異なります。
経済補償金の支給義務の有無
労働契約の終了または解除の場合、企業は必ずしも従業員に経済補償金を支給しなければならないわけではなく、支払義務はその状況に応じて異なります。原則として、労働契約の終了または解除に、従業員の過失がなければ経済補償金の支給義務が発生することとなります(労働契約法36条、38条、40条、41条、44条、46条、労働契約法実施条例22条、労働契約法39条等)。
実務上、とくに労働契約の合意解除の場合、従業員に対して経済補償金に若干の上乗せを行う日系外商投資企業は非常に多く、この点は中国で高く評価されています。特に就業規則に規定を設けていない場合、日系外商投資企業が退職者に具体的にいくらの退職金を支給するのか、ケースバイケースで判断が可能です。しかし、就業規則に退職金制度の規定を盛り込み、これを制度として実施する場合には、日本と同様、退職者に退職金を支給する法的義務が生じることにあるため、留意する必要があります。 |