破綻必要説と破綻不要説
婚姻法には、「夫妻双方が自由意思により離婚を望む場合には、離婚を認める」との文言が規定上にあり、裁判離婚のように「夫妻感情の破綻」の文言規定がないことから、学説上では、破綻必要説と破綻不要説が対立し、見解が分かれている。
登記条例においても、次のような規定にとどまっている。
「内地居住者が自由意思で離婚を望む場合には、男女双方が揃って一方当事者の常住戸籍所在地の婚姻登記機関に出頭して離婚登記を行わなければならない。中国公民と外国人とが自由意思で離婚を望む場合、内地居住者と香港居住者・マカオ居住者・台湾居住者・華僑とが自由意思で離婚を望む場合、男女双方は揃って内地居住者の常住戸籍所在地の婚姻登記機関に出頭して離婚登記を行わなければならない」。
破綻不要説
婚姻法と登記条例の関係条文の文言からすると、協議離婚には夫妻感情の破綻は必ずしも必要ではないことが明白であるとするのが、破綻不要説である。
破綻不要説は次のように主張する。夫妻感情の破綻は訴訟内調停離婚および判決離婚を認容する際の法定事由であるが、協議離婚登記を審査する際の要件ではない。離婚のほとんどは感情の破綻に起因する。しかし、実際、夫妻感情に決定的な破綻がなくても、離婚に至るケースが多数見受けられる。例えば、夫妻感情はさほど悪くないが、一方当事者の身体障害またはその他の原因により、他方当事者がそのような重荷に耐えきれずに協談離婚を行うことは、法的に認められない行為ではない。「夫妻感情の破綻」は訴訟離婚の条件ではあるが、協識離婚の条件ではないとするのである。
「夫妻感情破綻」の離婚原因を欠陥と指摘する見解
確かに夫斐感情は婚姻の基礎·核心的要素となるものではあるが、夫妻感情は婚姻生活の一部をなすにすぎず、物質的生活の処理や他の家族との関係等、婚姻生活にはその他の多面的要素も含んでおり、夫妻感情をもってそれらすべてに完全に代替することはできない。離婚原因には夫妻感情のみならず、多面·複雑·複合的な要因が絡むことは否定できない。現行法の夫妻感情破綻のみを離婚原因とする規定は改善の必要があると説く。
実は近時、裁判離婚においても夫妻感情に破綻はないが離婚を認めるべきではないかとする世論をも巻き込んだ事例が発生した。
⓵ 事件の概要
夫妻は隣村出身者同士の結婚で一人の子がいる。一方の配偶者の父親が他方配偶者の父親を毒殺した。親族や周囲の世論の圧力もあり、毒殺された者の子である他方配偶者が離婚を提訴した。
② 審 理
被告配偶者は夫妻感情が破綻していないと離婚に反対、原告配偶者も審理過程において夫妻感情が良好であることを認めたが、離婚要求の決意は固いと主張した。
現行婚姻法に従えば、夫妻感情が破綻していない以上離婚判決はできないことになる。
《唐律》と《明律》にあった離婚制度「義絶」ではこうした原因による場合は離婚が強制され、離婚しなければむしろ「杖八十」が科された。このような古代宗族文化に基づく国家強制離婚制度は好ましくないが、地方農村にあってはいまだに古代宗族文化的観念·倫理観が残っており、離婚を余儀なくする当事者の生活維持にとって止むを得ない場合もあり、「夫妻感情破綻」のみを離婚原因とする法規定改善の余地があるとする見解が見られる。 |