中国では、個人や企業が所有する土地はなく、都市部の土地は国有地であり、農村および都市郊外の土地は原則として農民集団所有地(村または農民集団経済組織が所有者)となっています。個人や企業は土地の使用権を取得し、所定の手続を経たうえ、自己の建物を建築することができます。
不動産登記
土地使用権及び建物所有権には登記制度があります。ただし、制度の充実度合は各地域で異なり、登記がされていなっかたり、登記の記載事項が不備であったり、または記載されている文言・用語が不明瞭であったりすることがあります。
土地使用権および建物所有権の登記後には、基本的に「土地使用権証書」と「建物所有権証書」が交付されます。
土地使用権の種類
土地使用権は、これをどのように取得したかにより、「割当土地使用権」と「有償払下土地使用権」に分類されますが、原則として、工場売却のような取引が可能となるのは「有償払下土地使用権」に限定されます。
割当土地使用権とは、国から無償で供与された権利です。例えば、政府機関、軍事施設、公益団体および国有企業の従来からの土地の利用に対して無償・無期限での土地使用権が与えられたことをいいます。割当土地使用権は、原則として譲渡、賃貸、抵当権の設定ができない権利ですので、割当土地使用権のままでは、これを自由に売却したり、他の企業に賃貸したりすることはできません。
有償払下土地使用権とは、例えば、払下当土地使用権者が、その土地を管轄する地方政府の土地管理機関との間で、「有償払下契約」を締結して、払下金を支払うことにより認められる土地使用権のことです。有償払下契約において、その土地の利用方法、期間(工業用地は50年、商業用地は40年)などが決められます。
土地と建物の一体処理
中国では、「建物は土地に従い、土地は建物に従う」というルールがあり、土地に建物が存在する場合、その土地の使用権と当該建物は一体として処理され、日本のように、別々に売却したり、抵当権を設定したりすることはできません。 |