外国企業は、原則として、中国の関係機関での登記を経ることによって、駐在事務所を開設し、業務活動を展開することができます。これらの駐在事務所は正式には「外国企業常駐代表機構」といいます。
駐在事務所の業務範囲
駐在事務所は、本社を代表して、その業務範囲に属する準備・補助的な仕事に従事することができます。「準備・補助的な仕事」とは、①本社との業務連絡、②本社のための市場調査、③本社製品の紹介、④技術交流などです。それ以外の業務、たとえば、売買代金の決済をすること、「発票」(領収書・増値税インボイス)を発行する業務はできません。
事務所の税務
駐在員事務所は、準備・補助的な仕事のみに従事している場合は非課税とされる場合もありますが、実際には、準備・補助的な仕事以外の営業的な活動などを行っているとされ、一定のみなし企業所得税と営業税が課されることがありますので、注意が必要です。
駐在員事務所に関する課税対象となる活動は、次の通りです。
- 貿易会社・商社などの駐在員事務所が従事する商品の代理貿易業務(本社の代理人として契約締結を行うことなど)
- 各種コンサルティング会社の駐在員事務所が従事するサービス活動
- 集団または持株会社の駐在員事務所が集団内の会社に提供するサービス活動
- 広告会社の駐在員事務所が従事する請負または代理広告業務
- 旅行会社の駐在員事務所が旅行者に提供するサービス活動
- 銀行・金融機関などの駐在事務所が兼営する投資コンサルティングまたはその他のコンサルティング活動
- 運輸会社の駐在員事務所が運輸業務の各段階で顧客に提供するサービス活動
- 駐在員事務所が顧客に提供するその他の課税業務活動
また、非課税の活動は、次の通りです。
- 駐在員事務所がその本部機構の生産する自社製品のためのみの、中国における市場調査、市況資料の提供、連絡その他の準備的、補助的活動
- 他国政府、非営利機関、民間団体などの駐在員事務所が行う課税業務活動以外の業務活動
注意点
駐在員事務所における労働者の雇用は、中国政府の指定した国有人材派遣会社【外事服務単位】を通さなければならず、直接雇用が認められません。
また、駐在員事務所の法人格は設立母体の会社(本社)と一体とみなされ、訴状の有効な送達先となりますので注意が必要です。
所定の業務範囲を逸脱して活動している駐在員事務所が多く見受けられますが、当局による現場検査を受けることもありますので、日ごろの活動内容について再確認が必要です |