中国では、そのときどきの経済状況に応じて、外国からの投資に対して基準を設けて規制しています。具体的な基準としては、「外商投資方法指導規定」と「外商投資産業指導目録」があり、前者は「投資ガイドライン」、後者は「投資目録」などと呼ばれています。
投資ガイドラインでは、業種を次の4つの分類に区別し、中国政府が外国からの投資を認めているかどうか、また認めている場合は望ましいかどうかを定めています。
- 奨励類 中国政府が外国からの投資を望んでいる業種
- 許可類 1、3、4以外の業種(1と3の中間)
- 制限類 中国政府が外国からの投資に制限を加えたり、条件を付したりしている業種
- 禁止類 中国政府が外国からの投資を認めていない業種
投資目録には、上記4分類のうち奨励類・制限類・禁止類について具体的な業種がリストアップされています。リストアップされていない業種は、原則としてすべて許可類になります。現在の投資目録では、ハイテク・新素材・省エネ・環境保護などに資する業種が奨励される一方で、成熟産業や環境汚染・エネルギー消費などにつながる業種は制限または排除される内容になっています。
なお、投資が認められている業種であっても、外国企業による全額出資やマジョリティ出資が認められていないものもあります。
また、投資プロジェクトの業種がどの分類に属するかにより、享受できる税制恩典が異なるだけでなく、会社設立の際の審査機関や審査方法も異なります。具体的には、その投資プロジェクトが奨励類・許可類に属する場合、原則として、投資総額が1億米ドル以上であれば国家の審査機関が、1億米ドル未満であれば省レベルの審査機関が審査を行いますが、制限類に属する場合は、その基準となる投資総額が5000万米ドルとなります。
国家の審査機関は、発展改革委員会と商務部門とに大別することができます。商務部門は、合併(合作)契約、定款の審査認可をはじめとする外商投資企業の設立審査を主管する機関であるのに対して、発展改革委員会は、主にプロジェクトの承認を行う機関となります。
そのほか、一部の特別業種については、文化部門や情報産業部門などの業種主管部門の承認を取得する必要があります。さらに、生産型の外商投資企業の設立については、環境保護部門による環境保護関連認可も事前に取得しなければならない場合があります。
審査機関での審査の結果、最終的に認可された投資プロジェクトは、その後各種登記の手続が必要となります。会社登記の手続は工商行政管理部門で行われ、「営業許可証」が発行されると会社設立となります。 |