分公司の位置付け
「会社法」第14条に「会社は分公司を設立することができる。分公司を設立する場合には、会社登記機関に対し登記を申請し、営業許可証を受領しなければならない。分公司は法人格を有さず、その民事責任は会社が負う。」と規定されています。
つまり、分公司とは総公司の隷属機構であり、それ以外に、分公司の位置付けや運営等について専門的に規定した法律法規は存在しません(総公司と同じなのでその必要がありません)。
独立法人ではないので、総公司のように決算を行って法定の会計監査を受ける必要もありません。分かりやすく言えば、社内の一部門が外にあるのと同じです。
分公司の設立
分公司の設立に当たっては、工商行政管理局での登記手続きを行って、総公司と同じように分公司と
しての営業許可証を取得し、分公司としての経営範囲も決められるので、分公司は、顧客との間で売買等の契約当事者となり、営業活動に従事することができます。
ただし、営業活動における民事責任は総公司が負います。また、営業許可証を取得するからには、その更新の為に所在地の年度検査を受ける必要があります。
税務関連その他
営業活動に従事するからには、分公司所在地にて税務申告を行う必要があり、会計上の決算と会計監査は不要でも、税務申告を行う為の損益計算書と貸借対照表は毎月作成する必要があります。
ここでいう営業活動とは、顧客と売買契約を締結して商品を仕入れ販売し、代金の支払い・受領と共に発票の発行を行うという「狭義の営業活動」だけでなく、顧客との商談等のセールス活動のみを行う場合も含めた「広義の営業活動」を指しますが、分公司の作成する税務申告用の損益計算書と貸借対照表においては、分公司自身が「狭義の営業活動」を行わない限り、課税売上高はゼロであり、分公司としての経費が計上されて、課税所得額はマイナスという損益計算書が作成されます。
また、分公司の運営に必要な経費は、総公司より分公司の銀行口座宛に随時送金することができる(同一社内である口座から別の口座に資金を振り替えるのと同じである)ので、貸借対照表上は、これに対応する勘定として貸方に“その他未払い金”を立て、課税所得のマイナス分が永久に累損として積み重なって行くことで、貸借対照表の左右がバランスすることになります。
上述の通り、分公司においても一般納税人資格を取得すれば増値税専用発票を発行することができ、中国内取引については分公司でも「狭義の営業活動」に直接従事することができます。しかし、分公司が輸出入の当事者となることはできません。
これは、税関登記が一社一登記に限定されているからであり、法人格を有さない分公司には税関登記を行うことが認められていないからです。従って、例えば、分公司所在地で輸出入通関を行う場合には、分公司所在地の税関にて総公司が“異地通関登録”を行い、且つ総公司の名義で輸出入通関を行うことになります。 |