外商投資商業企業の分公司は工商行政管理局で設立登記手続きを行って営業許可証を取得するので、分公司としての経営範囲を持つことになります。
分公司は総公司の隷属機構であり、総公司の中の一部門分なので、分公司の経営範囲は、必然的に総公司の経営範囲と同一またはそれ以下となります。商業企業の分公司の経営範囲を例示すると下表の通りです。
企業類型 |
経営範囲(例) |
卸売り企業 |
総公司 |
化工原料、化工産品の卸売り,輸出入,コミッション代理(競売を除く),並びに上述業務に関連付帯する業務。 |
分公司① |
化工原料、化工産品(危険化学品を除く)の卸売り,コミッション代理(競売を除く),並びに上述業務に関連付帯する業務。 |
分公司② |
総公司経営範囲内での連絡業務、コンサルティング業務。 |
小売企業 |
総公司 |
繊維製品、靴・カバン、日用雑貨の小売り,自営商品の輸入,国内商品の購入輸出,並びに上述業務に関連付帯する業務。 |
分公司③ |
不繊維製品、靴・カバン、日用雑貨の小売り,国内商品の購入輸 出,並びに上述業務に関連付帯する業務。 |
上記にて例示した卸売り企業の総公司の経営範囲は、総公司が「危険化学品経営許可証」を取得していることが前提となっています。
分公司においても、分公司自身が「危険化学品経営許可証」を取得すれば、総公司と同様の経営範囲を設定することができますが、未取得の段階では、卸売り企業・分公司①の経営範囲にあるように“危険化学品を除く”という文言が付されて、非危険化学品のみ仕入・販売が可能という意味の経営範囲を設定することになります。
医療機器(Ⅱ類、Ⅲ類)、食品・飲料等、会社設立とは別に個別経営許可を事前取得しなければならない業種の場合もこれと同様です。但し、食品・飲料を仕入・販売する為には「食品流通許可証」の事前取得が必要となりますが、危険化学品や医療機器とは異なり、「食品流通許可証」の対象とならない食品・飲料は無いので、総公司であれ、分公司であれ、取り扱う食品・飲料のカテゴリーに応じた「食品流通許可証」を取得しない限り、食品・飲料を経営範囲中に記載することはできません。
その他、総公司の経営範囲中にある“輸出入”については、分公司が輸出入の当事者になることはできません。ただ、自ら“輸出入”という文言を取り除いた経営範囲で分公司設立登記を申請しない限り、この記載が入ったままの経営範囲で営業許可証が発行されることも多いですが、だからと言って、分公司が輸出入業務に従事できる訳ではありません。 |