仮装離婚
仮装離婚は、一般には当事者双方が共同のまたは各自の目的のために、合意(虚偽の離婚意思)で一定期間離婚し、目的達成後に再婚する行為であるが、往々にして一方が第三者と婚姻する目的などで他方を嘱す場合があり、紛争となる。
その離婚方法としては、婚姻登記機関における仮装離婚登記と人民法院における仮装調停離婚の二つが利用される。婚姻登記機関で仮装離婚登記が行われ、後に紛争となった場合には、それを人民法院は直接受理せず、まずは離婚登記を行った婚姻登記機関が「登記条例」の関連規定に基づいて、その紛争処理を行わなければならない。なぜならば、婚姻当事者双方が不当な行為で他人を賜し結託して、婚姻登記機関から「離婚証」をし取ったものであり、まず、当事者双方はそれぞれ責任を負わなければならないからであるとされる。
当事者の一方が「離婚証」により、既に第三者と婚姻登記を済ませている場合には、その婚姻登記は有効と認められる。ただし、婚姻登記機関は、当事者の詐欺行為を職場や所属組織に通告することにより、当事者は党規律による処分や行政処分を受け、さらに刑法に触れる場合は司法機関により刑事責任を追及されることになる。
当事者双方が再婚していない場合には、仮装離婚は無効であり、一方または双方の請求により、離婚登記を行った婚姻登記機関は離婚登記を取消し、離婚の無効を宣告して「離婚証」を回収する。
詐欺離婚
詐欺離婚は、当事者の一方が自らの目的のために、虚偽の事実を握造し、または、真実を隠蔽して、他方当事者に離婚後の復婚を約束することにより、他方当事者に離婚同意をさせる違法な行為である。その離婚方法としては、婚姻登記機関における離婚詐欺登記と人民法院における調停詐欺離婚の二つが利用される。
仮装離婚と異なり、詐欺離婚は、一方当事者が他方当事者に対して詐欺行為を行い、他方当事者を誤った認識に陥らせ、離婚意思が全くないにもかかわらず離婚に同意するように強いて、離婚に至らしめた場合である。このような行為は「民法通則」五八条(注)の無効行為に該当し、遡及的に無効である。また、詐欺離婚において、故意に詐欺行為を行い、離婚して他人と再婚した者は重婚として処罰する。この場合、再婚した婚姻関係は無効であり仮装離婚の場合と異なるところである。
注:「民法通則」五八条
「以下に列記する民事行為は無効である。⓵民事行為無能力者が行った行為、②民事的行為制限能力者が法に基づき単独で行うことができない行為、③一方が詐欺·脅迫の手段をもって、又は他人の危険に乗じて、相手方に真実の意思に背かせる情況の下でなされた行為、④悪意で結託して、国家·集団又は第三者の利益に損害を与える行為、⑤法律又は社会の公共利益に違反する行為、⑥経済的契約が国家の指令的計画に違反するもの、⑦合法的形式をもって、不法な目的を隠蔽した行為
無効な民事行為は、行為開始時より法的拘束力を有しない」 |