役職の期限設定と減給
役職に期限を設けることを妨げる法令はありません。また、役職の任免権は会社側の裁量と言えます。ただ、実際には以下の通りの課題があり、現実的ではないと思われます。
(1) 例えば、「班長・係長・課長・部長などの役職を解くことができる制度」を仮に制定したとしても、解任後いずれ社員の誰かを何らかの役職に就けなければ会社運営はできないため、会社は社員を適切 に評価して任命する必要に迫られます。適切な対応を行わなければ、役職を解かれて再び役職に就けない社員の不満を募らせることになります。減給を伴うのであれば尚更です。
(2) 会社設立当初から役職に期限を設けることを明確にして、労働契約書にもその旨約定して社員を採用するのであればまだ実施可能かも分かりませんが、人事評価基準を明確にしないまま役職に期限を設 ければ、労働争議が起こる懸念もあります。
(3) いずれにせよ、本件も従業員の切実な利益に関わるため、従業員代表大会又は全従業員と討議して、従業員側からも意見を出させて、工会又は従業員代表と平等協議した上で決定する必要があります。
(4) このような人事制度の改革を行うより、寧ろ通常の人事評価制度をしっかり作られることをお勧めします。会社として抜本的な対応をすべきで、それをせずに制度に手を付けても混乱を招くだけと思わ れます。
したがって、ベースとなる人事評価制度や賃金規程をしっかり整備、運用することが重要であり、これを行うことなく、このような個別の減給規則、降格制度のみを導入しようとすれば、労働争議が起こる懸念もあります。 |