Q :上海市の日系企業ですが、工会経費による八つの禁止事項があると聞いたことがありますが、何だか教えてください。なお、工会経費の用途・支給基準・支給対象などあれば教えて下さい。
A :2014年12月3日、上海市総工会は『「中華全国総工会弁公庁の基層工会経費収支管理の強化に関する通知」の徹底に関する若干意見』(以下、若干意見という)を公布し、工会経費の用途・支給基準・支給対象などを明確にしました。
工会経費による八つの禁止事項を強調し、ショッピングカード・クーポンなどの購入や接待贈呈などの活動、無断の手当・補助・賞与の支給、高価消費性の娯楽スポーツ活動、工会口座を利用してのへそくり、工会口座を会社の口座と一体にして工会経費をコントロールできなくなること、差し止め・流用、違法な資金集め活動への加入や担保差し入れ、工会活動と無関係な費用の精算などを禁止しています。
工会経費とは、工会が法に拠り取得して正常活動の展開に必要な費用を言います。『中華人民共和国工会法』によると、工会経費は主に工会会員が本人給与の0.5%で毎月工会に納付する会費及び全従業員の給与総額の2%で毎月工会に納付する経費の二つの部分で構成されます。その内、基層工会(会社の工会)は工会経費(全従業員の給与総額の2%)の40%を上級工会に上納し、残りの60%は基層工会で管理します。
工会経費の使用
工会経費の用途を奨励・補助・慰労に分類し、それぞれの対象項目と支給ルール・ 支給金額などを規定しています。
(1) 奨励・補助・慰労の対象項目
基層工会が各イベントや業務展開において発生する奨励・補助・慰労の対象項目は以下のとおりです。
① 従業員教育関連:優秀な成績を取得した者への奨励(自学して学んだ者も含む)
② 文化体育活動関連:文芸公演活動、体育競技などの奨励。各類活動において規定に基づき支出する食事補助費、夜食費
③ 工会活動関連:優秀工会幹部と積極的に活動に参加する人員の選定表彰
④ 慰労関連:祝日の際、工会会員全員に支給する慰労品、困難な状況にある会員個人と家庭を対象に支給する補助、会員本人の誕生日慰労など
(2) 奨励・補助・慰労の支給ルール
① 基準を明確にする。基層工会は関連規定を制定して、奨励・補助・慰労の支給に関する統一的な基 準を書面化し、それに基づき実施しなければならない。奨励・補助・慰労の基準は合理・適切を原則として制定すること。
② 手順を規範化する。基層工会は奨励・補助・慰労関連規定を制定する際、必ず基層工会委員会と経 費審査委員会の検討・可決を経て、上級工会に届け出る。上級工会は届出案について修正意見と提案を出す権利がある。
③ 手続きを整備する。奨励・補助・慰労を支給する際、承認手順を揃え、受領確認を徹底すること。
(3) 祝日慰労品の支給
祝日慰労品の支給は、上記(2)の支給ルールを守る以外に、以下の規定を遵守しなければならない。
① 量を規制する。総額は基層工会が当年留保する上納経費収入の20%以内に抑え、一人当たりの金 額は400元を超えてはならない。
② 形式を限定する。慰労の形式は現物に限定する。
③ 対象を限定する。慰労の対象は工会会員全員とする。
(4) 誕生日慰労の支給 会員本人の誕生日に、工会は慰労と祝いをする。原則、誕生日ケーキを購入して慰労するが、特殊な場 合は、同等価値のケーキ引換券を購入することができる。慰労の基準は一人当たり250元を超えてはならない。
(5) 映画鑑賞 会費で会員を組織して映画を鑑賞する場合、統一して組織することを原則とする。会員の業務内容や時間などの事由により、統一して組織できない場合、同等価値の映画鑑賞券を支給することができる。
(6) 旅行などの集団活動 会費で旅行などの集団活動を行う場合、一般に日帰りとする。
会社による経費補助について
工会が社員旅行などを組織する場合において、工会経費不足で、会社が一部経費を補助する場合があり ますが、会社の税前経費として認められているのは2%までの工会経費であり、それを超えて工会経費として支出する場合は、税務局は税前経費として認めません。従業員福利費として支出する場合は、給与賃金総額の14%を超過しない部分については税前控除が認められます。 |