一定年齢に達しての減給
(1) ○○歳(例えば50歳)に達したから、ということを以って従業員の給与を一律減額、或いは昇給なしとすることに合理性はなく、中国で一般的に認められている考え方でもありません。
(2) 高齢により管理能力が劣る、営業成績が落ちる、重労働に耐えられないなどの現象があったとしても、 これらは個人差があり、本来は、管理職であれば「管理能力」、「企画力」、「リーダーシップ」や営業成績など、事務職であれば「協調性」、「業務の正確性」など、ワーカーであれば「歩留り率」などの自社の考課基準により評価し、その評価結果に基づき給与規定に従って給与を決定・変更すべきものと考えます。
(3) 質問に書かれた対応を実施した場合、労働争議の発生すら懸念されます。
(4) また、給与制度を初めとして、人事評価制度・賃金規程等の策定・変更は直接、従業員の切実な利益に関わるため、従業員代表大会又は全従業員と討議して、従業員側からの案・意見を出させて、工会 又は従業員代表と平等協議した上で決定する必要があります。これは『中華人民共和国労働契約法』第 4条により会社側に義務付けられている内容であり、このステップを踏まずに制定された従業員待遇に関する諸規定は、争議が発生した場合に法的な有効性を持ちませんので、注意する必要があります。
したがって、ベースとなる人事評価制度や賃金規程をしっかり整備、運用することが重要であり、これを行うことなく、このような個別の減給規則、降格制度のみを導入しようとすれば、労働争議が起こる懸念もあります。 |