婚姻法十二条規定の「初めから無効である」とは、無効の婚姻が法により無効の宣告を受けたときに、はじめて当該婚姻は初めてから法律の保護を受けず、無効となることが確定することを意味する。当事者ははじめから夫妻間の権利義務を有しない。当事者間に生まれた子は、本法の父母と子に関する規定を適用するとされている。
結婚証の没収と婚姻無効判決書の送付
裁判所は、当事者の申請により法に基づいて結婚無効宣告を行った場合は、夫妻双方の結婚証を没収すると当時に、効力を有する判決書を当地の婚姻登記機関に送付しなければならない。
財産処理
⓵ 財産処理に関して婚姻法は、「同居期間に取得した財産は、当事者の協議によって処理する。協議が調わないときは、裁判所が無責配偶者を配慮する原則に基づいて判決する」と規定するのみであったが、「司法解釈(一)」に、「当事者の同居期間中に取得した財産は、共同共有として処理する。ただし、当事者の一方の所有であると証明する証拠を有する場合はこの限りではない。」追加規定を設けた。
公平の原則・事実尊重に基づく婚姻法の精神によるもので、同居期間中の所得財産は夫妻共同財産に照らして分割すべきものと解釈されている。
② 相続権はもちろん発生しないが、扶養と密接に関連つけられた相続法原理に基づき、無効婚姻の一方当事者の死亡後も、もし、生存当事者が死亡当事者の父母を扶養していた場合、その父母の遺産について適当な分与をすべきであるとか、無効婚姻の一方当事者の生前、その扶養に頼っていた自活能力のない生存当事者には死亡当事者の遺産の分与を認めるべきとの解説もみられる。
③ 裁判所が重婚に起因する婚姻無効案件審理の際、その財産処分に関し、合法的婚姻当事者は独立請求権を有する第三者として訴訟参加することを許可しなければならず、重婚により婚姻無効となった場合の財産処理に対しては、合法的婚姻当事者の財産的権益を侵害してはならないとされている。
子の扱い方
当事者間に生まれた子は嫡出子ではないが、嫡出子と非嫡出子の法律上の地位は同一であるので、婚姻無効は子と父母間の権利義務関係には影響を及ばすものではない。無効により当事者の同居関係が解消したとしても、婚姻法の父母と子に関する規定が適用されるので、扶養教育・養育費負担問題などにおいて嫡出子と全く同等に扱わなければならないことになっている。 |