1、労務管理コストの軽減
正社員の場合、従業員の募集・採用、入社、労働契約の締結・解除、各種社会保険料の納付、個人ファイル・社会保険関係の移転などに関わる各種の労働行政管理手続が非常に煩雑であるため、これらを問題なく管理するには、人事部の設置が必要です。
派遣社員の場合、会社が派遣会社との間で1本の派遣契約で済み、上記の問題については、すべて人材派遣会社が行うべきです。
2、労働紛争の回避
派遣社員の場合、従業員と労働契約を締結しているのは派遣会社であるため、派遣社員の間に労働紛争が発生したとき、派遣会社がこれを解決すべきで、先に派遣会社に相談させるなど、従業員と直面するリスクが低くなります。
3、長期試用期間としての利用が可能
正社員を採用する場合、試用期間の制限があります。例えば、3年間の労働契約を締結するとき、その試用期間は6ヵ月を超えてはなりません。
派遣社員の場合、派遣期間を一種の長期試用期間ととらえて、派遣期間中に会社側は時間をかけて派遣社員の資質や実力を観察し、長期採用に値する従業員と判断できた場合、正社員に切り替えるなどの方法を利用すれば、よりよく人選を行うことができます。
4、終身雇用の延期
労働契約法14条2項3号では、正社員の場合、連続して2回の固定期間労働契約を締結した後、正社員が要求すれば、会社が正社員と無固定期間労働契約を締結し、終身雇用しなければならない、とされています。
一旦、終身雇用してしまった場合、従業員の解雇が難しくなります。このため、終身雇用を回避しながら従業員に長期で働いてもらうには、派遣社員の活用が効率的です。
5、グループ企業間での転勤が容易
中国には多くの投資先会社を持つ日本会社がよく見受けられます。この投資先会社間で従業員を配置転換させるとき、正社員の場合、自社の正社員を他の投資先会社に転属させるには、元投資先会社がその正社員といったん労働契約を解除し、別の投資先会社と新たに労働契約を締結する必要が生じます。
派遣社員の場合、労働関係は派遣会社との間にあることに変わりはないため、勤務先を新しい投資先会社に変更するだけで済みます。
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