1、労務派遣の限界
労働契約法66条では、派遣社員は、一般的に臨時性、補助性、代替性(いわゆる「三性」)のある職務のみに就労が許可される、と規定されています。
補助性とは、会社の非主要営業職務のことと、代替性とは、正社員が病気や出張などにより一時的に従事する職務のことと、また臨時性とは、派遣期間が6ヵ月間を超えないことといいます。
実務上、会社の重要な職務についても、派遣社員に任せる会社は実際に多いのです。また、殆どの場合で、労務派遣期間が6ヵ月を超えています。しかし、中国政府が派遣社員の利用を奨励していないため、今後、派遣社員の実質的利用を徐々に制限している動向が予想され、このリスクを注意する必要があります。
2、派遣の打ち切りが難しい
正社員の場合、労働契約法を根拠に会社が解雇を行うことができます。これに対して、派遣社員の場合、その派遣の打ち切りが、正社員の解雇よりも難しいのは事実です。
3、派遣社員の勤務意欲へのマイナス影響
正社員と比べ、派遣社員は自分を外部の人間だと意識してしまいがちであり、会社への帰属感が薄く、会社のために仕事する意欲が欠けると見られます。
4、雇用コスト・リスクが派遣先会社に転嫁される
理論上、派遣社員を利用する場合、会社としては派遣社員との間に労働関係がないため、派遣先会社の雇用コスト・リスクの負担が軽くなります。実務上、派遣会社が受けるべき派遣社員の雇用コスト・リスクがすべて派遣先会社に転嫁されています。
また、派遣社員と労働関係がないからといって、労働紛争のリスクがないわけではないことに注意が必要です。これは、派遣先会社が無過失責任を負い、損害賠償を求められる恐れがあるからです。
労働契約法92条
労働紛争により、派遣会社が派遣社員に損害を与えた場合、派遣先会社が派遣会社と連帯して派遣社員に賠償する必要がある。
労働紛争調停仲裁法22条2項
派遣社員が派遣会社と労働紛争を起こした場合、派遣先会社は派遣会社とともに、共同被告とされる。
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