外国企業が代表処の登記を抹消する理由はたくさんありますが、例えば、外国企業が中国市場の一層の開拓を望んで直接現地法人を設立した場合、元の代表処は引き続き存在する必要がなくなります。或いは、外国企業がこれ以上、代表処が従来中国で担っていた連絡、調査、製品の普及推進或いは技術交流等の作用を必要としなくなり、代表処を撤退させるケースもあります。これらの状況において、代表処の登記抹消手続が必要となります。
代表処は、外国企業のPEとして、毎月の経費額をベースに、みなし利益率15%で営業税5%、企業所得 税25%の課税を受けています。ここでいう経費には、事務所家賃、光熱費、中国人スタッフの労務費等の 直接経費の他、外国人駐在員の給与や個人所得税、中国への渡航費等、代表処経費として帰属させるべき本社支出の経費も含まれ、代表処の税務登記抹消時には、これら経費額の申告が漏れなく適正に行われていたかどうかが各種のエビデンスにより精査されます。正常な状況においては、代表処の登記抹消手続にかかる時間は6ヶ月程度ですが、税務の抹消に時間がかかった結果、1年以上かかる場合もあります。
通常の代表処の登記抹消の流れ
- 先ず、本社が代表処登記抹消の具体的な時点を決定
- 上述の時点に基づき、具体的な登記抹消計画、抹消の流れ、タイムテーブルを作成
- 本社が、各政府機関に提出する登記抹消申請書やその他の関連資料を準備
- 会計士事務所が代表処の経費の会計監査を実施(少なくとも3完成年度分)
- 各種資料の準備が整った後、正式に登記抹消申請を提出(税務局、税関等の順で審査)
- 銀行口座を抹消する前に、銀行残高を検査し、転出すること(残額返送確認手続き)
- 各政府機関(工商、技監局、統計局、外管局等)での登記抹消申請
代表処登記抹消の具体的な流れと関連資料
(1) 公認会計士事務所による監査報告書の作成
(2) 税務局からの税務登記取消通知書取得:必要提出書類は以下の通り。
① 税務登記取消申請書(中国語:税務登記申請審批表、様式自由)一式2部 ② 税務登記証正本と副本 ③ 首席代表、代表及び職員の最近3年の個人所得税納税証明書 ④ 工商登記証(収入印紙の貼付が必要) ⑤ 事務所の賃貸契約書(収入印紙の貼付が必要) ⑥ 免税証明書 ⑦ 事務所の最近3年の所得税・営業税の納税証明と監査報告書
(3) 税関登記取消書取得:必要提出書類は以下の通り。
① 税関登記取消申請書(様式自由) ② 事務所の税関への届け出証 ③ 工商登記証のコピー ④ 首席代表証 ⑤ 首席代表のパスポートコピー
(4) 銀行口座残高の処理
基本的に人民元については現地で使い切るか、或いはどうしても残るようであれば所定の手続きを経て外貨に兌換して、外貨口座の残金とともに国外の親会社に送金する形となります。
(5) 銀行口座取消通知書取得:必要書類は以下の通り(人民元口座、外貨口座共に同じ)。
① 銀行口座取消申請書(各銀行に所定様式有り、駐在事務所印捺印要) ② 外貨及び人民元口座のIC カード(返還)
(6) 工商登記証取消通知書取得:必要提出書類は以下の通り。
① 駐在員事務所閉鎖申請書(様式自由、外国の本社が代表取締役名で作成) ② 工商登記証(返還) ③ 工作証(返還) ④ 工商ICカード(返還) ⑤ 税務登記取消通知書 ⑥ 税関登記取消通知書 ⑦ 駐在員事務所印鑑(返還) (7) 関連証書類の返還
以上が終了して、この工商登記証取消通知書を提示して、さらに企業コード番号証(企業代碼証) 正本・副本を技術監督局に返還し、統計登記証の正本・副本を統計局に返還し、外貨口座使用証を外貨管理局に返還します。
代表処が登記抹消申請を提出する時点が年度内、例えば5月である場合、代表処が準備する上述の資料は、過去3年と当年の5か月の関連内容であることに注意が必要です。 |