外商投資企業における未処分利益の再投資(以下「利益再投資」という)により新規に会社を設立する場合、投資主体は外国投資者であり、新設企業は外商投資企業となります。一方、外商投資企業からの直接出資(以下「直接出資」という)により新規に中国内で会社を設立する場合、以下の通りとなります。
(1) 直接出資により設立された会社は内資企業になります。出資者である外商投資企業の外国投資者にとって、当該内資企業は孫会社という位置付けになります。尚、外資優遇税制の廃止に伴い、利益再投資時の企業所得税還付の優遇措置も既に廃止されていますので、設立される会社が外資か内資かによる有利不利は全くありません。
(2) 利益再投資により設立された会社は、元の出資者(外国投資者)の所在国での連結決算基準を満たせば、元の出資者側での連結決算の対象となります。当該新設外商投資企業からの利益分配(配当) も、当然ながら元の出資者(外国投資者)が受けることになります。当該配当金に対しては、外国投資者を納税者として企業所得税が源泉課税されます。
(3) 一方、直接出資により設立された会社は、中国における連結決算基準を満たせば、出資者である元の外商投資企業の連結決算対象になります。当該新設会社からの利益分配(配当)も、当然ながら出資者である外商投資企業が受けることになります。この場合、当該配当金(中国国内からの配当金収入)に対する企業所得税の源泉課税はありません。言い換えると、利益が中国内に留保されていれば、国内企業(居民企業)間の利益配当なので、10%の源泉課税は無く、25%の企業所得税も免除されますが、国外へ配当される時には出資者である非居住者企業に対して源泉課税されるというこ とです。
(4) 直接出資時の申請認可手続きについては、利益再投資の場合と同様に、増資や会社設立に関わる手 続きは必要ですが、直接出資そのものに関しての手続きは何も必要ありません。 |