外商投資企業の直接出資は、『外商投資企業の国内投資に関する暫定規定』(2000年7月25日公布、同 年9月1日施行)の第5条により、登録資本金が全て払い込まれていない企業、累損が解消されず黒字に なっていない企業、経営に法律違反行為が見られる企業――の3項目にあてはまる企業は国内投資ができ ないと規定されていました。また、これらの条件を全てクリアして国内投資する場合も、第6条により「国内投資額が自身の純資産額の50%を超えないこと」と規定されていました。
しかし、『「外商投資の会社審査認可登記管理の法律適用に関する若干の問題についての執行意見」实 施に関する通知』(工商外企字[2006]第 102号、2006年5月26日発表施行)により、上記の直接出資制限はすべて廃止され、外商投資企業の直接出資は自由化されました。
つまり、未処分利益による再投資により会社設立する場合、出資額は未処分利益範囲内に限定され、且つ源泉所得税を控除した金額が新設会社の資本金額となりますが、外商投資企業からの直接出資により会社設立する場合、このような企業所得税の源泉課税は発生しませんので、出資する現金がそのまま 100%新設会社の資本金となり、外商投資企業の手許に現預金がありさえずれば、これを全額でも出資に充てることが可能です。
資本項目外貨を人民元転換して直接出資に充てる場合の制限
現時点の中国の外貨管理制度において、資本項目外貨(外貨資本金、外貨借入金)を人民元に転換して、これを直接出資や中国国内での不動産購入に充てることは禁止されています。つまり、上記に述べた通り、外商投資企業の手許現預金(人民元収入、経常項目外貨収入)の範囲では自由に直接出資が行えますが、国外投資者からの資本金、増資金及び借入金を直接出資に充てることはできないということです。
しかしながら、2015年4月8日に国家外貨管理局が公布した『外商投資企業の外貨資本金人民元転管理 方式の改革に関する通知』により、規制緩和が实施され、2015年6月1日より、外貨建の資本金については、これを直接出資の為に人民元転換することも可能になります。 |