外商投資企業における未処分益を再投資して自社に増資したり、別会社設立の為の資本金に充てることは可能です。未処分利益という出資者権益を用いての再投資なので、出資者側では配当所得を計上のうえ、然るべき税金を支払うことが必要になります。
この場合の税金については、先ず配当金に対する源泉税があります。
① 『財政部、国家税務総局の、企業所得税の若干優遇政策に関する通知』(財税[2008]1号)では、 「2008年1月1日以前に外商投資企業が形成した累積未処分利益を2008年以降に外国投資者に配当する場合は企業所得税の徴収を免除し、2008年及びそれ以降の年度に外商投資企業にて新規増加した利益を外国投資者に配当する場合は法に基づき企業所得税を納付すること」と規定されました。
② 言い換えると、利益を外国投資者に配当する場合、中国国内で再投資する場合、いずれの場合も、 2007年12月31日以前に形成された利益を用いるのであれば企業所得税の源泉徴収は免除され、2008年以降の利益を用いるのであれば、外商投資企業は外国投資者のために企業所得税を源泉徴収して代理納付する必要があるということで、当該源泉所得税を控除した後の金額が配当に伴う出資者の手取り(再投資に利用できる金額)ということになる訳です。
③ 源泉徴収税率については、各国(地域)と中国(大陸)と間の租税協定(二重課税防止協定)に基づき、外国投資者が日本企業の場合には10%、香港企業の場合には5%になります。日本企業側では、日本の法人税法に基づき、当該10%の源泉所得税は外国税額控除の対象となります。
④ 利益が形成された期間を区分けするために、企業は主管税務機関に対し、関連年度について会計士事務所が作成した特定項目監査報告書を提出する必要があります。
出資者側での税務処理について、外国投資者が日本企業の場合、日本の法人税法に基づき、海外子会社からの配当金収入はその95%が非課税となり、5%を課税所得額に計上することになります。つまり、外商投資企業側で決議された配当金額を100とすると、100×90%×5%を日本企業側での課税所得額に算入しなければならないということです。
尚、2008年1月1日からの『中華人民共和国企業所得税法』の施行に伴い、外商投資企業の外国投資者に対する利益再投資に関わる税金還付優遇策は廃止されました。
利益再投資時の申請認可手続き
利益再投資により増資または会社を設立する場合の申請認可手続きは、増資や会社設立の手続きに加え て、税務局からの「完税証明」の取得、所在地の外貨管理局での利益再投資の審査・許可等の手続が必要 になります。
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