仲裁は、利益相反がない限り、専門知識や経験が豊富な仲裁人を自由に選定できます。通常は、契約において、3人(申立人と被申立人からそれぞれ1人、両者合意または仲裁委員会主任が1人を選任)と規定する場合が多いようです。一方裁判では、裁判官を任意に選択することはできません。
仲裁審理と仲裁判断は、原則非公開とされています。マスコミに報じられたくない場合や、営業秘密・ノウハウに関連する紛争の場合は、より安心して利用することができます。なお、裁判は原則公開ですが、機密情報に関する場合など人民法院の判断で非公開になることもあります。
紛争解決手段として仲裁を選ぶ場合は、まず当事者間の書面による仲裁合意が必要です。中国法が準拠法の場合、有効な仲裁合意として、少なくとも仲裁請求の意思表示、仲裁機関及び取扱事項の範囲について明確に規定する必要があります。中国では仲裁機関について合意する必要があることに注意が必要です。また、書面で仲裁規則のみを指定している場合には、仲裁機関は指定していないとみなされることについても、注意が必要です。
仲裁合意には訴訟を排除する妨訴抗弁が認められます。したがって、仲裁合意があれば、当事者は対象紛争を裁判所に持ち込むことはできません。しかし万一、仲裁合意があるにもかかわらず、いずれかの当事者が中国の裁判所に提訴し、相手方が人民法院の管轄につき異議を申し立てずに答弁した場合、相手方は裁判管轄を認め、仲裁合意を放棄したとみなされます。 |