示談と調停(和解提案)
示談とは、第三者を介さず、当事者同士のみによる話合いを指します。示談で達した和解合意には強制執行力がありませんが、示談により争点が明確になりますので、仲裁や訴訟における効率的解決に役立つといえます。
ここでいう調停とは、民間人や民間機関による、いわゆる「民間調停」のみを指します。民間調停では、法人間の紛争だけでなく、私人間の紛争なども取扱ます。このほか、行政手続き上の調停や訴訟上の調停があります。民間調停により達した当事者間和解合意は、執行認諾付の公証証書がなければ強制執行力はありません。しかし、公証をもってしても場合によりその執行力には問題があるようです。
示談や民間調停での和解にて、公共の利益に反すること、法律に違反すること、または法律を忌避しているようなことが含まれている場合には、当該内容は、仮に示談や民間調停によって当事者間で成立したとしても無効とされますので注意しなければなりません。
行政的手段
1、行政処罰の種類
基本的には「行政処罰法」において、警告、過料、違法収入などの没収、生産・営業の停止命令、営業許可証の一時取上げまたは取消、行政拘留が規定されています。また、ほかの法律でその他の行政処罰を設定すること、行政法規で人身の自由を制限する以外の行政処罰の設定すること、および地方法規で人身自由の制限や営業許可証の取消以外の行政処罰を設定することも認められていますので、申し立てる前に、行政処罰法のほか、行政法規や地方法規も調べる必要があります。
2、審理の手続
違法行為の情状が軽くその場で決定がでるような場合には、簡易手続で審理される可能性もありますが、基本的には一般手続が適用されます。
3、一般的手続における証拠聴取手続
行政機関は、生産・営業の停止命令、営業許可証の取消、多額の過料などの行政処罰を決定する前に、当事者に対し、証拠聴取手続を申請する権利があることを告知しなければならず、当事者がそれを申請した場合、行政機関の費用負担で聴聞会を開かなければなりません。
証拠聴取手続は公開が原則ですが、国家秘密、営業秘密または個人のプライバシーに関する場合、非公開を要求することもできます。
4、行政処罰決定の執行力
行政処罰決定書は、当事者に直接交付または送達しなければなりません。当事者が不服の場合、再審査を申請したり、人民法院に対し行政機関を相手に提訴したりすることができますが、決定された行政処罰は再審査または行政訴訟の結果を待たずに執行されます。
なお、現在、行政機関の強制執行手段、権限の設定などについて具体的に規定するとともに、権力乱用の防止も考慮した行政強制法が検討されています。
5、損害賠償請求について
相手の不法行為に対し行政機関に行政処罰を申請できますが、不法行為による損害については行政機関の審理範囲外ですので、当事者間で合意できなければ、訴訟または仲裁で解決することになります。 |