中国では、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)が、①国際的または渉外的紛争、②香港、マカオ、台湾地区に関する紛争、③中国国内紛争(外商投資企業相互間、外商投資企業と中国その他の法人、自然人または経済組織間の紛争、外商投資企業以外の中国国内の当事者間の紛争)を扱っており、日本企業が利用することが多いところです。CIETACは、本部の北京の他に、分会が上海、深圳及び重慶に置かれています。また、直轄市や大都市などにもほかの仲裁委員会が設立されています。
なお、仲裁地の決定に際しては、相手との力関係によって自国を選定することも可能です。お互いに公平な条件となる第三国での仲裁もあります。
仲裁を申し立てるには
仲裁人が確定した後、CIETACは申立人及び被申立人に仲裁廷構成通知を出します。仲裁廷が構成された日から6か月以内に仲裁廷は仲裁判断を下す(仲裁判断書を作成する)必要があります。この判断日(作成日)をもって、仲裁判断の法的効力の発生日と規定されていますので、いずれの当事者も以降は人民法院への訴えの提起はできなくなります。
CIETAC仲裁規則に基づく仲裁における注意事項
仲裁判断の基準となる準拠法を外国法にすることは可能です。ただし、合併契約に関わる紛争については、中国法を準拠法にしなければなりません。
仲裁手続きとともに人民法院へ財産保全や証拠保全を申請した場合、保全措置は仲裁廷が行うのではなく、CIETACが当事者の申請を管轄権を有する地方の中級人民法院に送付し、当該人民法院が裁定の上、保全措置を行うことになります。
仲裁判断の執行
仲裁は、日本も中国も加盟している「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(ニューヨーク条約)において、締約国は、仲裁手続上の重要な瑕疵等が証明されない限り、仲裁判断を執行することが義務付けられています。そのため、理論上、仲裁判断の相互執行においても基本的に問題ありません。しかしながら、実際には執行が困難である事例が多いようですので、弁護士と相談して進めていくことが必要です。なお、裁判では、日本と中国の間では、相手国で下された判決をそのまま執行することはありません。
|