日本と異なり、法定相続のみならず遺言相続(指定相続)も認めますが、遺言相続といっても、遺言で法定相続人の一人または数人を指定するもので、法定相続人に限られています。その効果は、例えば第一順位の相続人が存在しても、第二順位の相続人に指定できることになります。
法定相続人は、配偶者と一定範囲の血縁者・準血縁者相続人からなります。
①配偶者 法律婚のみならず事実婚が認められている時期の場合は事実婚による配偶者
②親子 実子については嫡出子も非嫡出子全く同等の地位にあります。扶養関係にあった継親子間にも実親子間と同一の相続権を認めます。養子は特別養子のみで、実方親子関係は消滅しますので実方親子間には相続権はありません。孫以下の直系卑属は固有の相続権をもたず代襲相続人ですが、親等に制限はありません。養子の直系卑属のみならず、扶養関係にあった継子の直系卑属にも代襲相続を認めます。胎児にも相続を認めます。
③兄弟姉妹には、全血・半血の違いはありません。養子と実方の兄弟姉妹間には相続権は認められませんが、養子と養親の実子・養子間には認められます。さらに扶養関係のある継兄弟姉妹間にも相続権があるものとされています。
④祖父母 養祖父母のみならず扶養関係のある継祖父母にも相続権が認められます。
相続順位は、日本のように配偶者と血縁者を別系統としていません。
第一順位 配偶者・子・父母
第二順位 兄弟姉妹・祖父母
第一順位の相続人が不存在の場合に、第二順位相続人が相続できます。したがって、日本のように配偶者の兄弟姉妹や、配偶者の甥・姪と共同相続することはありません。
相続分 同一順位者の法定相続分は一般的に均等とされていますが、これは絶対的原則ではなく、被相続人と相続人間の扶養関係と扶養状況を考慮することが要求されています。
高齢者・子供・身障者など、生前被相続人に対し主な扶養義務を果たした者には多額を、逆に扶養能力・条件を満たしながらも被相続人に対し扶養義務を履行しなかった者には、まったく相続分を認めないか、減額すべきであると定められています。
法定相続分とは異なる指定相続分が遺言により認められていますが、胎児・未成年者・生活困窮者である相続人の生活維持に必要な相続分の留保に違反しないことを前提条件とします。
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