労働紛争の場合、当事者は裁判所に直接訴訟を提起することは認められず、まずは労働争議仲裁委員会に仲裁を申し立て、仲裁委員会の仲裁判断を受けなければなりません(いわゆる「先裁後審」の原則)。仲裁委員会の仲裁判断に不服があるときにはじめて、当事者は裁判所へ訴訟提起することが認められます(労働争議調停仲裁法50条)。
労働争議仲裁委員会
労働紛争が発生すると、従業員または企業が、労働争議仲裁委員会に仲裁を申し立てる必要があります。仲裁委員会の仲裁判断に不服があった場合にはじめて裁判所へ訴訟提起することが認められます。
時効(出訴期限)
労働紛争は労働紛争発生日から1年以内に提出シなければならず、この時効(出訴期限)を過ぎると、労働争議仲裁委員会が仲裁申立を受理しません。なお、労働関係が継続している限り、労働報酬の未払に関わる紛争については、この1年時効の制限を受けず、従業員はいつでも仲裁を申し立てることができます。
終局判断
仲裁委員会の仲裁判断のうち、従業員側が不服を唱えれば裁判所に訴訟を提起することができるのに対して、企業が仲裁判断を不服として裁判所に訴えを提起することが認められない仲裁判断をいいます。これは従業員を保護する制度であり、少額賠償など限られた仲裁判断が終局判断とされます。
調停手続
労働紛争が発生した場合、当事者が調停機関に調停を求めることができます。外部の調停機関もありますが、企業が自ら社内に調停機関を設立し、そこで紛争を解決することもできます。調停に応じるか否かは紛争当事者の自由です。 |