第一審の一般的手続
1、期日の指定
裁判期日は、遅くとも期日の3日前までに原告及び被告に対し書面(呼び出し状)で通知されます。
2、答弁書の提出
被告は訴状を受領してから15日(渉外訴訟の場合は30日)以内に答弁書を提出しなければなりません。
3、法定調査
日本の証拠調べに似ており、訴状に基づき原告による事実関係や請求の趣旨陳述、被告による認否などが行われます。その後、証人尋問や書証・物証の証拠調べが行われます。証拠調べにおいては、鑑定などの方法もよく使われます。
4、法廷弁論
法廷調査が終了後、法廷調査の結果をもとに事実評価と法律論戦を行います。この段階を法廷弁論といい、日本の口頭弁論に似ている手続です。最後に、原告および被告に最終陳述の機会が与えられ、また最終準備書面を提出します。
5、訴訟上の和解
裁判官の和解提案【調解】を受け入れることにより訴訟が終了します(日本の裁判上の和解に類似しています)。ほとんどの事案で法廷調査と法廷弁論が終了後、裁判官から和解が提案されます。実際も、和解で解決される率が高くなっています。和解で訴訟を終了する場合、和解調書【調解書】が作られ、当事者双方が署名します。和解調書はその送達に対する当事者の受領をもって発効し、確定判決と同等の効力があります。
6、判決
原告、被告のいずれかが和解に応じない場合または和解が不調に終わった場合、判決となります。判決書には、認定された事実関係のほか、当事者双方の主張および裁判官のこれに対する認否ならびにその根拠も記載されます。
上訴
第一審判決に不服がある当事者は、判決が送達された日から15日以内(渉外訴訟の場合30日以内)に、一審法院を通じて上級の法院宛に上訴状を提出します。
いずれの当事者も上訴しない場合は、上訴期間の満了をもって、一審判決が確定します。上訴があった場合、上訴審の判決が終局判決となります。なお、上訴審においても訴訟上の調停が可能です。
再審
事実認定や法律適用の誤りなどについては、1級上の法院に訴訟審理のやり直しを申し立てる再審制度があります。再審の申立期間は、確定判決から2年以内とされていますが、それを過ぎていても、確定判決の根拠となる法律文書の変更または取消が行われたり、裁判官の不正行為(賄賂など)が発覚した場合には、これらの事実を知った日または知るべき日より3か月以内に申し立てることもできます。
執行
強制執行の申請期間は、判決に明記されている履行期間の最後の日から起算して2年です。執行方法には、給与等収入からの控除や、不動産の没収、差押財産の換価・競売などがあります。
勝訴判決後の執行の際には、相手方が財産を隠したり、執行を妨害するなどの問題が生じることがあります。そのため、直ちに強制執行ができるようになり、また財産報告制度(確定判決前の1年間の自己の財産を報告すること)が導入されています。
執行段階においても、当事者間の和解により執行内容の変更が可能です。ただし、この和解には執行強制力がありませんので、いずれかの当事者が和解合意どおりに履行しない場合、相手側は法院に対し、元の確定判決や調停調書に基づく執行を申請することができます。
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