「相続法」は、「相続は被相続人の死亡時より開始する」と規定し、さらに、「相続は、被相続人の生理的死亡または死亡宣告を受けた時から開始する」と死亡宣告を受けた場合についても追加規定しています。
したがって、相続開始の原因となる被相続人の死亡は、被相続人の生理上の死亡と被相続人が死亡宣告を受けた場合の二種類に分けることができます。
生理的死亡 生理的死亡時は、戸籍に登記された死亡時間に従いますが、戸籍登記がない場合には病院の死亡証明書に記載されている時間をもって死亡時とするとされています。
死亡宣告 死亡宣告の場合の相続開始時については、二つの異なる規定が見られます。
①「失踪者が死亡宣告を受けた場合は、法院判決中に確定されている失踪者の死亡日をもって、相続開始時とする」と規定します。
②「死亡宣告を受けた者は、宣告判決の日をもってその死亡時とする」と定めます。
両者の規定は一致しておらず、制定日が新しい法が優先適用するとの原則により、②の規定を適用すべきとされています。
中国では、実際生活上遺産分割は往々にして相続開始後長時間を経てから行われました。例えば、両親の一方が死亡しても遺産分割は行わず双方の死後によってはじめて遺産分割をすることが一般的でした。そのため、相続開始時と遺産分割時は異なります。相続開始時は被相続人死亡時と確定し変更することができませんが、遺産分割時は各相続人が実際に遺産を取得するときで、相続人間の協議などで決めることができますので、遺産分割時を相続開始時としてはなりません。遺産分割時を相続開始時とすると、相続人を正確に認定することができなくなったり、遺産範囲を正確に確定することもできなくなる等の結果をもたらす可能性があります。といった解説が見られます。
相続開始時確定の意義
- 相続権、遺言などの顕現化
- 遺産内容などの確定
- 相続人の範囲確定
- 訴訟時効の起算点
相続開始時は、20年の相続紛争提訴時効の起算点です。相続紛争の最も長い時効の20年の期間は相続開始の時を起算点とし、権利の侵害時を起算点とするのではないことに注意を要します。 |